高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

星野源「不思議/創造」 -コロナ禍でも大切にしたいこと-

人を想うこと、希望を持って生きる、常識にとらわれることなく生きたい・・・

今を生きるために大切なメッセージが込められた4曲となった。

 

1.不思議(TBS系火曜ドラマ「着飾る恋には理由があって」主題歌)

元は他人同士の二人が出会って一緒になる、それは奇跡であると同時に不思議なことー。

人を愛することには不思議も存在すると歌った歌詞が心に響くミディアムナンバー。

DAWによる打ち込みサウンドを主体としながらも、暖かさを感じさせるメロディとなっている。

生音がなく無機質さが目立つ曲だが、メロディの優しさもあってラブソングならではの温もりを感じずにいられない。

打ち込みのゆったりしたリズム、R&Bテイストの効いたスウィートなサウンドがその魅力をさらに際立たせるのだ。

生音がないのに暖かさを感じさせる仕上がりになっているのもポイントで、歌詞に描かれた「不思議」を表現している印象。

歌詞では人の出会いから感じた「不思議」を歌い、サウンドは打ち込み主体なのに暖かさと優しさを感じさせる「不思議」…

タイトルの「不思議」を全力で表現した、星野源さんらしい1曲と言えるだろう。

 

2.創造

ワクワクする日々を生きたいー。

そんなメッセージを遊び心溢れるメロディに載せて歌ったポップナンバー。

軽やかなメロディは「アイデア」や「恋」を彷彿とさせるだけでなく、ゲームキューブの起動音を取り入れたメロディやマリオブラザーズの効果音(マリオのパワーアップ音)など、任天堂に対するリスペクトを感じさせる。

敵を踏みつける音だったりクッパの炎が飛んで来る音、マリオ3のゴールBGMに果てはゲームボーイの起動音…

様々な音を違和感なくポップミュージックとして昇華しているところに星野源さんの才能が溢れ出ているのだ。

二番目のAメロにおけるファンク的なリズムとファミコンサウンドを意識したシンセの織りなすメロディは特に彼のセンスを感じられるだろう。

 

何より、遊び心に満ちた曲となっていることで歌詞に込められた想いも伝わってくる。

常識にとらわれずワクワクする日々を楽しんでいこう、そんなメッセージを伝えると同時にこの曲そのものを表現したのが素晴らしい。

効果音や起動音などを上手くポップスに取り込んで創り出されたからこそ、歌詞に込められた想いや任天堂へのリスペクト心がしっかりと伝わってくる。

星野源さんらしいポップセンスと遊び心が満載の新たな名曲が誕生したと言えるだろう。

 

3.うちで踊ろう(大晦日)

絶望や諦めを感じるコロナ禍でもわずかな希望を信じて生きたい、だからそれぞれが出来ることをやっていこうー。

シンプルなアコギの弾き語りによる原曲を大胆にアレンジし、軽快なポップナンバーとして生まれ変わった「うちで踊ろう(大晦日)」。

コロナの影響で一変した2020年に感じた怒り・悲しみ・絶望・諦め、その中でもわずかに感じる希望を全てひっくるめて歌い上げた歌詞とファンキーさを感じさせる楽曲は全ての人に寄り添ってくれる力を持っている。

オシャレさに満ちた管楽器の音色、ギターリフやドラム、ベースの軽やかなグルーヴが心地よく身を委ねて聞きたくなってしまうのだ。

そんな楽曲だからこそ、絶望・怒りから希望まで全てを受け入れることが大切と歌った歌詞が心に響く。

楽曲の軽やかさでそのメッセージを表現しているのも素晴らしい。

 

4.そしたら

星野源さんらしい素朴なメロディが活かされた、シンプルなミディアムナンバー。

アコースティックギターではなく最近の流れを汲んだピアノサウンドでそれを表現することにより、今の星野源ならではのセンスが光る1曲となった。

ピアノの落ち着いたサウンドとゆったりめのメロディにより、落ち着いた雰囲気を演出している印象。

 

少しずつ大人になっていく子供への想いを親目線で歌った歌詞もポイントでどこか日常の空気感を感じさせる。

コロナで世の中が変わっても前までと同じように繰り広げられる光景もある、子供が大人になっていく日常もその一つではないだろうか。

上記の「うちで踊ろう」と合わせ、普段のように日常を送っていこうと我々にメッセージを送っているように感じるのだ。

 

ピアノの優しくて暖かいサウンドと素朴なメロディ、大人になっていく子を想う気持ちが歌われた気持ちの歌われた歌詞が心に響く。

短いながらも、星野源さんの曲が持つ優しさが表現された1曲だ。

 

 ・まとめ

CDとしては「POP VIRUS」以来となった「不思議/創造」。

人を想う気持ちから常識にとらわれることなく生きたいという気持ち、どんな状況でもわずかな希望を信じたい・・・

コロナ禍を生きるうえで大切なメッセージを伝えてくれる、密度の濃いシングルとなった。

音楽面においてもDAWを駆使していたり、初期に近い素朴なメロディをピアノサウンドで奏でてみたりと新たな試みも感じられたのではないかと思う。

2021年はもちろん、今後の作品・楽曲も引き続き楽しみにしたい。

不思議/創造 - Single by Gen Hoshino | Spotify