ユニゾンのポップな一面がさらに開花したと言える名盤。
今は声優アーティストにも楽曲提供をしている田淵智也、その才能をこの時点で感じさせるのが恐ろしい。
・感想
2010年4月にリリースされたユニゾンのメジャー2枚目となる「JET CO.」。
2009年の1stアルバムでも感じられたメロディのキャッチーさはそのままに、それをより突き詰めてバラエティに富んだ作風となっている。
曲の順番も含めて遊園地をイメージしただけあり、UNISON流パワーポップアルバムとして完成された1枚と言っても過言ではないだろう。
そう感じる理由として、前作よりポップさが増しているのだ。
メロディに丸みが増しているとでも言うのか、全体的に聞きやすくなっている印象。
それでいて、ちょっと粗削り感を残したキレのいいギターサウンドの痛快さもアルバムの随所に健在。
それを物語っているのが疾走感のあるギターロックから弾き語りをイメージさせるミディアムナンバーといったバラエティ豊かな楽曲の存在ではないだろうか。
シビアなメッセージが込められた歌詞とギターサウンドのカッコよさがたまらない「Cody Beat」、ギターの美しい音色を活かした弾き語りでありながら重さを感じさせる歌詞がのしかかる「気まぐれ雑踏」、ポップに振り切ったメロディと疾走感が心地よい「ライドオンタイム」、夜を駆けるような焦燥感に満ちた「夜が揺れている」、降り続く雪で白く染まる街の美しさを表現したサウンドと繊細で力強いボーカルに引き込まれる「スノウアンサー」、壮大な曲でありながらサビにユニゾンらしいメロディが際立つ「23:25」・・・
どの曲もロックバンドらしくギターフレーズの痛快さを感じさせるもので楽曲ごとに違う表情を見せている。
ジャケットが白く染まった遊園地となっているのだが、バンドサウンドだけでいろんな景色を見せてくれる本作の曲をイメージさせるかのよう。
楽曲によって白い遊園地が様々な色に染まっていくとでも言うのだろうか、曲順・バラエティに富んだ楽曲・ジャケットの全てでそれを表現しているのだ。
ユニゾンのポップな一面は1stの頃から既に感じられたが、本作によってそれがさらに研ぎ澄まされたのではないだろうか。
アルバム全体でユニゾンのポップセンスを楽しめる素晴らしい名盤だ。