2020.3/12 今日の1曲 Paper Flower/米津玄師
先日3月10日は米津玄師さんの誕生日でした。
遅くなりましたが、これからもいい作品を作り続けてほしいですね。
というわけで、久々に「今日の1曲」企画をやりたいなと。
今回は米津玄師さんのシングル「Lemon」に収録されている「Paper Flower」を取り上げます。
退廃的な世界観の歌詞と浮遊感に満ちたシンセサウンドが何とも言えない、不思議な1曲でした。
・Paper Flower(2018年3月14日発売「Lemon」収録)
浮遊感を感じさせるサウンドや狂ったチューニングのメロディが不思議な世界へと引き込んでくれる、米津さんらしいエレクトロナンバー。
穏やかなテンポで刻む打ち込みリズムを軸に、ノイジーなシンセや時計の針が動く音などを効果的に取り入れている印象。
一聴するとごちゃごちゃしているように感じるのですが、これが曲の退廃的な世界観を見事に表現しているなと思いました。
特に、「目の前の思い出が消えていく」で始まるサビはノイジーさを増すサウンドもあって一気に引き込まれます。
盛り上がる箇所でありながら、暗い雰囲気を増幅させる展開になっているのがポイント。
「私は未だにあなたへと 渡すブーケを作る陰気なデザイナー」のフレーズも相まって、暗さを強調した仕上がりの1曲となりました。
ただ、暗いだけで終わっていないのも個人的に注目すべき点で。
Bメロで「遠くで湧き上がるコメディ その裏に隠したトラジティ」という感じに韻を踏んだ歌詞となっているんです。
ヒップホップのリズム感も上手く織り交ぜているあたりに米津さんらしいセンスを感じられて思わず頷いてしまいました。
暗い雰囲気の曲でも音楽を聞く上での心地よさは残したいって想いがあったのでしょう。
暗さとリズム感が本当に絶妙のバランスで保たれていると言うべきか。
独特の雰囲気だけでなくリズム感も意識した歌詞が聞いていて心地よい、音楽面も含めて不思議な世界を表現した1曲ではないでしょうか。