海の幽霊/米津玄師 -あなたに会えたこと、それは忘れられない-
今年に入っても「Lemon」が配信チャート10位以内を維持、菅田将暉に提供した「まちがいさがし」も好調な米津玄師。
そんな彼が2019年最初の楽曲「海の幽霊」をリリースしました。
タイトル通り、海の壮大さを感じさせる仕上がりに圧倒される1曲です。
ゆったりとしたメロディと荘厳なオーケストラアレンジ、ずっしりと響く重低音で海の壮大さを表現したバラードナンバー。
サビで感じさせる圧倒的な雰囲気が素晴らしく、聞く者を飲み込んでしまうほどの力があります。
バックでうねる波音をイメージした重低音の心地よさも今までにない感覚を与えてくれました。
ファルセットを駆使した歌唱と相まって、それがより増幅されている印象。
張り裂けそうなほどの感情が込められた歌唱でお盆に大切な人と再会した時の想いを描いた歌詞をしっかりと伝えてくれるのが見事。
1年に一回だけ会えるからこそ、その再会は忘れられないものになる・・・
海の壮大さと同時にお盆の季節を大切にしたい想いも伺えます。
特に、二番目のサビ前に間奏を持ってくる構成は圧巻の一言。
海中をイメージしたサウンド(クジラの鳴き声っぽい音、浮き上がる気泡の音など)による美しい間奏からファルセットを効かせたサビへと移行する瞬間、グッと引き込まれてしまいます。
この展開があるからこそ、二番目と最後のサビが一層際立つものになったのではないでしょうか。
身近に感じつつもどこか未知なるものの存在を感じさせる海、それが見事に形となった「海の幽霊」。
これまでとは全く違う雰囲気でありながら、新たな名曲を生み出した米津玄師。
その才能に改めて驚くばかりです。
次のアルバムがどういったものになるか、早くも楽しみで仕方がない。