高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

Base Ball Bear「新呼吸」-繰り返す日常の中にある変化-

明日に向けての希望や不安を見事に描き切った傑作。

 

・全体的な感想

昨年の3.5thアルバムを経てリリースされた4thアルバムとなる「新呼吸」。
彼らにしては珍しく、時間というコンセプトに沿った作品に仕上がっています。
歌詞の中に朝や昼などの情景が描かれており、日々繰り返す日常を表現しているように感じました。
いつも何気ない日常を送っている私たちなんですが、新しい明日には何らかの変化を望んでいるんですよね。
誰もが思うであろう気持ちを代弁している内容が印象的。
何事もなく終わった日もあれば、落ち込んでしまう日もある。
それだけじゃなく、過去を懐かしんでノスタルジックな感傷に浸る日だって・・・
そんな日々を重ねて成長していく人の姿を音楽で表現した1枚と言えるでしょう。今の彼らにとって、集大成的な作品です。
同時に、ボーカルの小出祐介が自分自身の日常に重ねて作り上げたようにも感じたのが見事。

演奏面やサウンドに関しても、毎回のように驚かされます。
本作はギターロックを基調にしつつも、彼らの持ち味である特有のポップさがより洗練されているように感じました。
小気味いいギターリフやベースライン、力強いドラムのリズムなど・・・
本当に研ぎ澄まされていて、ただただ圧倒されるばかり。
シンプルでありながらも、深みを増したベボベサウンドを堪能出来ます。

 

・お気に入り曲のレビュー

2.ダビングデイズ
乾いたギターリフと力強いドラムサウンドが織り成す、リズム感のいいメロディが印象的なギターロックナンバー。
ベボベらしさを維持しながらも、同じ繰り返しの日々を送ってばかりの自分に対する鬱憤をぶちまけた歌詞が痛烈。

3.school zone
あの頃の青春を懐かしむ感情を描いた歌詞と真っ直ぐなギターサウンドが心に沁みてくる1曲。
青春をテーマにしている点では変わらないんですけど、思い出に浸っている大人の視点で描いているのが新鮮。
サウンドといい、大人になったのを感じさせてくれました。

5.スローモーションをもう一度
過去の甘い恋愛模様に浸っている気持ちを描いた歌詞が印象的。メロディの安定度は相変わらずって感じかな。
個人的には、間奏のギターソロが秀逸ですね。過去に浸っているかのような浮遊感を演出しているのが見事。

6.short hair
爽やかポップに振り切ったベボベ流の青春ソング。
駆け抜けるかのようなギターリフは聞いていて気持ちが良く、どこか切なさを感じさせてくれるのが印象的。
乱打されるドラムも歌詞とマッチしていていい感じ。

7.Tabibito In The Dark
ツインギターによる絡み合いが実に絶妙な1曲。
Aメロからサビまでの流れが素晴らしい。
サビでの盛り上がりやギターリフもカッコいいですが、ダンスロックを意識しているのが個人的にはツボ。
何もかも忘れて踊り狂えって歌うサビも印象的。

11.yoakemae (hontou_no_yoakemae ver.)
ストレートなギターサウンドによるギターロックナンバー。
実験的要素が強すぎた前2作のミニアルバムを経たこともあってか、このシンプルさが際立っている。
アウトロのギターリフで聞かせようとしている以外に特筆すべき点はないんだけど、王道とも言える1曲でしょう。
夜明け前をテーマにしている歌詞も、新しい一日への希望と不安が同居した気持ちを描けていると思います。

 

・まとめ

「時間」というコンセプトに沿って作られた本作。
シングル曲も含めて、テーマが一貫されているのが見事だと感じました。
作品としてのまとまりは今まで以上かもしれません。

 

新呼吸 (通常盤)

新呼吸 (通常盤)