高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

高橋優「今、そこにある明滅と群生」-日常が少しでもいい方向へ-

彼が目にした世界への想い―。

 

・全体的な感想

高橋優の4枚目となるフルアルバム「今、そこにある明滅と群生」。
今作は高橋優さんが日常で目にした世界をそのまま歌い上げた作品になっています。
現代社会で起こる出来事、その中で繰り広げられる人間模様・・・
そこに潜む光と影も含め、11曲の歌にして描いています。

全体的にストレートな歌詞が多く、とにかく訴えかけてくるものが多い印象。
それは彼がこの世界を愛しているからなんでしょうね。
少しでも世界がいい方向になってほしいからこそ、真っ直ぐに歌っているんです。
楽曲の優しくもシンプルなメロディからもそんな想いが感じられました。
恐らく、彼の作品中でもっともリアルを歌っている作品じゃないでしょうか。
本人が最高傑作と言うのも頷ける内容ですね。
リアルタイムシンガーソングライター・高橋優の本領がいかんなく発揮された傑作。

 

・全曲レビュー

1.BE RIGHT
イントロのギターフレーズが陽気なポップナンバー。
聞いているだけで明るくなれるほどの躍動感に満ちています。
「自分に出来ることを一つずつやっていこう」という歌詞から感じられるエネルギーがすごい。
ピアノの音色も楽曲に彩りを加えるだけでなく、差し込む光を表現しているかのよう。

 

2.太陽と花
荒涼とした大地を想像させるギターのイントロがカッコいい。
そんなアレンジの楽曲は聞いているだけでグッと引き込まれていきます。
力強いメッセージの込められたサビと相まって希望も感じさせる仕上がり。
荒野に咲く花にも太陽の光は等しく当たる・・・
少しでも前向きに行こう、そんなメッセージが込められているように思います。

 

3.裸の王国
周りに合わせることが多い現代の人々を皮肉った歌詞が印象的。
軽快なリズムの楽曲に乗せて歌っているのが何とも痛快。
自分もツイッターをやっているだけに、歌詞のようにならないようにしなれば・・・
ちょっと考えさせられた1曲ですね。

 

4.明日への星
アコギのシンプルなメロディラインが聞いていて気持ちいい。
バンドサウンドの盛り上がりが印象的なサビは王道のアレンジで聞きやすいですね。
純粋にメロディの良さを押し出していて好き。
スケールの大きい世界観で希望を歌った歌詞も圧巻。

 

5.WC
ネット上に溢れる匿名の言葉を便所の中の行為に例えた1曲。
サビにおける高橋優さんの力強い歌唱、乾いたギターサウンドのアレンジが痛快。
怒りにも似た感情を剥き出しにして歌い上げていています。

 

6.同じ日々の繰り返し
「人生は映画」をテーマに優しく歌い上げた高橋優流の応援歌。
人生とはその人が主人公の映画でもあると思うんですよね。
同じ日々のように見えても少しずつ違っている、同じ日は二度とやって来ないわけで。
一日一日を全力で生き抜こう、そんなメッセージが込められています。
ピアノの優しいメロディが心に沁み渡ってくる。

 

7.ヤキモチ
ヤキモチを焼いてしまう自分をテーマにしたラブソング。
そんな自分だけど、相手のことは誰よりも想っている・・・
ヤキモチ焼きなりの優しさを感じさせる1曲。
ピアノの優しい音色がいいですね。

 

8.旅人
ギターの優しいメロディラインが印象的。
生きることを旅に例えた深みのある歌詞はぜひとも目を通してほしい。

 

9.犬
「自由とは何か?」を疑問形で問いかけてくる1曲。
人にとって自由の概念は違うんでしょうけど・・・
自由という言葉の意味を改めて考えさせられました。
ピアノの高音を活かした美しいメロディも秀逸です。
音使いやアレンジは素晴らしいの一言。
ラストで半音上がる展開も聞いていて爽快。

 

10.パイオニア
軽快なメロディで前へ進む力強さを表現した1曲。
ギターの爽快なサウンドが背中を押してくれます。
人生はまだまだ続くからこそ、立ち止まるわけには行かない。
「人生のピークを過去に設定するにはまだ早いんじゃない?」
もっと歩み続けられるんじゃないか、自分を信じよう―。
力強いメッセージを感じました。

 

11.おやすみ
シンプルなピアノの旋律が心地いいバラードナンバー。
君が笑顔でいてくれたら何もいらない・・・
ラストに相応しく、子守唄のような優しさに満ちています。

 

・まとめ

彼が目にした世界に対して感じたことをストレートにぶつけた本作。
力強い歌唱や真っ直ぐな歌詞といい、今まで以上のエネルギーを感じました。
想いをそのまま歌い上げる彼だからこそ作り上げることが出来た1枚。
最高傑作と言うにふさわしい。