新たな一歩を踏み出した[Champagne]時代の最高傑作。
・全体的な感想
UKロックに影響を受けたサウンドが魅力的な彼らの4thアルバム。
改名前のラストアルバムとなりますね。
本作は打ち込みやジャズ、
メロコアなどの要素も吸収した意欲的な一枚に仕上がっていました。
今までの[champange]にはなかったドラムのリズムやリフの雰囲気が印象的ですね。
「Ho!」の間奏で聞かせるヘヴィーなギターの掛け合いなど、とにかく攻めているのが伺えます。
打ち込みを取り入れた[champange]流デジタルロックナンバーの「Stimulator」、キレのいいギターと浮遊感を含んだギターリフとの掛け合いが心地いい「Kick&Spin」と新たなアプローチも目立っています。
また、サウンドに関してもよりポップで強靭さが増したと思います。
各楽器との掛け合いで聞かせたり、ドラムのリズムに軽快さが増していたり。
聞くことの楽しさにも重きを置いているのがポイント。
[champange]のスタイリッシュなロックがポップの良さも兼ね備えたことで進化を遂げています。
歌詞については、彼らの力強い想いが如実に表れています。
常に高みを目指す彼らならではの決意が感じられるフレーズに満ちていると感じました。
どんなに批判があっても、決して立ち止まるわけには行かない―。
サウンドの変化や歌詞の内容など、今の彼らの強さが表現された1枚と言えるでしょう。
・全曲レビュー
1.Rise
ピアノの
アルペジオからバンドサウンドへの移行が印象的なロックナンバー。
力強くポップなドラムのリズムと小気味良く掻き鳴らされるギターサウンドが痛快。
ダンスミュージックの要素も取り入れているのが[champange]の曲にしては新鮮です。
タイトルは直訳すると「立ち上がれ」。歌詞も含め、アルバムの幕開けに相応しい1曲。
2.Stimulator
打ち込みを大胆に取り入れた[champange]流のデジタルロック。
いつも以上にキレのいいギターサウンドと相まって、非常にカッコいい。
間奏における近未来的な雰囲気を感じさせる音使いも圧巻と言いますか。
3.Starrrrrrr
GEROCKの炭酸音とバンドサウンドが織り成す、爽やかなギターロックナンバー。
彼らにとって新たな試みなんですけど、上手く昇華している印象を受けました。
掻き鳴らされるアコギと炭酸音のイントロから爽快感が半端ないんですね。
Aメロ~Bメロの穏やかな展開もサビの盛り上がりに寄与している感じ。
開放感たっぷりのサビは聞いているだけで気持ちがいい。
また、間奏の激情的なギターソロも圧巻。
シンプルながらも、しっかりと聞かせてくれる演奏がグッド。
「今を生き抜いていけ」というメッセージが込められた歌詞も印象的。
真っ直ぐな楽曲、サウンドも含めて前向きな1曲になっています。
4.Kick&Spin
ギター同士の掛け合いが非常に爽快な1曲。
キレのいいギターサウンドとどこか浮遊したギターリフ・・・
まるで、タイトルの「蹴って回して」を音で表現しているかのようです。
サウンドにおける表現力の向上を感じずにはいられません。
5.涙がこぼれそう
ギター、ベース、ドラムが織り成すバンドサウンドが美しいロックバラード。
彼らの楽曲の中で最も美メロとも言える仕上がりです。
それでいて、ギターを効かせているのが彼ららしいと言いますか。
演奏テクニックよりも、シンプルに音と歌で楽しませようとしているのが伺えました。
何より、驚いたのが完成度の高さなんですよ。
今まで以上に洗練された演奏とメロディが心に沁みてきます。
歌詞は面倒くさい性格の「僕」が「君」だけを笑わせようと奮闘する姿が描かれています。
表面だけ見れば恋愛ソングっぽく見えるんですけど、実はそうじゃないんです。
壮大な展開とのギャップもあって、妙にひねくれているんです。
それも含めて、聞き手を楽しませることに特化した1曲と言えますね。
6.Ho!
ヘヴィーなギターサウンドが効いたロックナンバー。
ストレートに駆け抜けていく楽曲と間奏のギターの掛け合いがカッコいい。
歌詞やタイトルから遊び心を感じられるのも彼ららしい。
全ての楽曲に自信を持っているからこそ、こういった曲も出来るんだろうなぁ。
7.Forever Young
爽やかさを感じさせるシンプルなギターロック。
変則的なギターソロなど、複雑な展開がないのも印象的。
どこか懐かしさを感じさせるギターサウンドも新鮮。
メロディと歌で聞き手を楽しませることに特化した1曲と言えるでしょう。
歌い出しにおける
川上洋平の歌唱も伸びやかで引き込まれるものがあります。
8.Travel
ピアノとギターが織り成す、落ち着いた雰囲気のミドルチューン。
アコギがいいアクセントになっていて、じっくりと聞かせてくれます。
サビにおける洋平の熱唱も歌詞の壮大さを感じさせてくれる。
9.Wanna Get Out
中華風なギターのイントロ~Aメロのラップと曲の世界へと引き込む構成が印象的。
以降はその雰囲気を全く感じさせないエモーショナルなサウンドなのもいい。
開放的なサビで歌い上げる洋平の歌唱も聞いているだけで爽快。
バックで掻き鳴らされるギターとドラムの掛け合いにも注目。
10.This Is Teenage
タイトル通り、若さが表現されたロックナンバー。
サビ手前の小気味いいギターフレーズ、伸びやかなサビが印象的。
ピアノも曲の雰囲気作りに上手く貢献しているのが見事。
ラスト前で半音上がるサビやポップな勢いに満ちたアウトロは聞きどころですね。
11.Plus Altra
彼らの持ち味である美メロを活かした壮大なロックバラード。
力強いドラムと大サビのギターが生み出す壮大さは圧巻の一言。
これからの決意が描かれた歌詞も含め、前進を感じさせる1曲。
・まとめ
今作をもって新たな段階へと踏み出した[champange]。
まだまだ彼らはやってくれそう―。
そう確信せずにはいられない一枚です。
評価:★★★★★