LADY/米津玄師 -シンプルに恋がしたい-
春分の日となる3月21日、米津玄師さんの「LADY」が配信リリースされました。
少し前からインスタやTwitterの投稿で新曲が出そうな予感はしていましたが、思わぬリリースは嬉しいものですね。
今の季節にピッタリな、思わず恋をしたくなるような暖かさに満ちた良質のポップスが誕生しました。
・LADY(ジョージア新CMソング)
この恋が続こうと、または終わりを迎えたとしても日々は刻むー。
そんな営みを春らしいゆったりとしたメロディに載せて歌ったポップナンバー。
ホーンサウンドなどの華やかな音色とピアノの奏でるメロディラインがシンプルに心地よく、春の爽やかさを感じさせてくれます。
素直に恋をしてみたいという感情を歌った歌詞がそのような印象を抱かせてくれるのでしょうか。
それもあり、軽やかなリズムに乗っかる米津玄師さんの歌唱は恋をして前向きになった心を表現しているかのよう。
一方で二番からCメロにかけての展開では、恋をしていく中で起こる心の揺れ動きを表現しているのです。
同じメロディを維持しながらも、効果的に入ってくるグロッケンの音色やギターフレーズがこれから先に起こるかもしれない別れや相手に対する不信感の表れを描いていて。
歌詞ではそのことをシンプルに歌っているんだけど、サウンド面では緻密な表現をしていて実に見事です。
特に、Cメロの転調は曲の空気を変えるほど大胆。
それを表すかのように不安定になった心を歌い上げているんですよね。
本当は愛してほしいのに、思ってもない気持ちが出てきたり素直じゃない行動をしてみようとしたり・・・
米津さんらしい展開だなと感じると同時に、その凄さを改めて感じずにいられません。
ラストサビは「恋をしたい」自分の気持ちと素直に向き合い、それを感じさせる歌唱の変化も印象的。
力強く歌い上げることでシンプルに恋をしたい気持ちが聞き手にも伝わるのではないでしょうか。
心に起こる変化も受け入れた上でどこまでもストレート、真っ直ぐに恋したい気持ちを歌い上げた、米津さんなりの不器用さも出たラブソングです。
恥ずかしくってしょうがねえ/米津玄師 -あんたみたいな大人になるのは恥ずかしくってしょうがねえ-
11月23日に「KICK BACK」のシングルが発売されました。
米津玄師さんと言えばカップリング曲も魅力的なんだけど、今回の「恥ずかしくってしょうがねえ」は無責任な大人になりたくないという鋭いメッセージが込められた曲となっています。
アコースティックギターのノスタルジックなサウンド、ゆったりした心に染みるメロディと米津さんの味わい深い歌唱に引き込まれました。
・恥ずかしくってしょうがねえ
ノスタルジックなアコースティックギターの旋律が心に響くミディアムナンバー。
シンプルな音構成なんだけど、「恥ずかしくってしょがねえ」の直後に不協和音的な音の歪みを入れて聞き手を惹きつけるのが米津さんらしい仕上がり。
タイトルからして不器用な愛を歌い上げるものかと思いきや、今の世の中を鋭い言葉で批判するメッセージソングになっていることにビックリしました。
米津さんだからてっきり「この想いを伝えるのは恥ずかしくってしょうがねえ…」って内容になると思っていたんですよね(笑)
いい意味で予想を裏切られ、「言うだけ吐き捨てる無責任な大人になるなんて恥ずかしくってしょうがねえ」という鋭いメッセージソングとなっているのが見事。
米津さんのやさぐれ感に満ちた歌唱、世の中に対しての情けなさをぶちまけた言葉のチョイスが曲のメッセージ性をより確かなものにしています。
特に、UKロックぽさを感じさせるCメロの存在感は圧巻。
自分の吐いた言葉がそのまま帰ってくると歌った歌詞と合わせて心に刺さるというか。
今の時代だからこそ、自分を見直すべきと改めて感じさせられました。
KICK BACK/米津玄師 -幸せを願うだけでなく、時に努力も必要-
常に想像を超える楽曲で我々を圧倒させてくれる米津玄師さんですが。
チェンソーマンのOPに起用された新曲の「KICK BACK」は、まさにその言葉がピッタリ当てはまるなと。
イントロから鋭く刺さってくるベース音、荒々しく鳴り響くギターサウンド、がなるような米津さんの歌唱・・・
大胆な転調に常田さんのアレンジも加わって、ただただ圧倒されました。
・KICK BACK(アニメ「チェンソーマン」OP)
チェーンソー音の起動音と鋭さ全開のベースラインで始まるイントロ、Aメロからサビにおけるスリリングで疾走感たっぷりのメロディ、大胆な転調が圧巻のCメロ、「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」をシャウトしながら締めくくるアウトロ・・・
始まりから終わりまで、聞き手を圧倒し続ける怒涛の展開がたまらないロックナンバー。
メロディそのものは真っ直ぐなんだけど、常田さんのアレンジによって切れ味が半端ないものとなっています。
ギターサウンドの鋭さとノイズを混ぜた米津さんのボーカルは非常に荒々しく、いい意味でイカれた曲になってるんですよね。
それを象徴するのが大胆な転調を聞かせる二番のBメロでしょう。
攻撃的で荒々しいそれまでの展開とは打って変わり、讃美歌のような美しさを持っているのが圧倒的で。
「幸せになりたい」の歌い出しから心が洗われるかのようなんですよね。
一番のBメロと同じフレーズを違うメロディで聞かせる表現力、そこからシャウトで元の雰囲気に戻る流れも含めて圧巻の一言。
また、歌詞の持つメッセージも印象的。
恐らくタイアップ先のチェンソーマンを意識した内容になっていると思いますが、それを抜きにしてもしっかりと伝わってくるものでした。
人間ってのは心から幸せだったり楽しいことを求めるんですよね。
今がどんなに辛く虚しい日々だとしてもその先にいいことが待っているのでは・・・
そのメッセージを「努力 未来 A BEAUTIFUL STAR」という引用フレーズで強調しているのが見事。
幸せを願うばかりでは結局のところ、そうはならないのが現実ー。
だからこそ、時には努力も必要じゃないでしょうか。
米津さん
まとめ
ボカロP・ハチとして音楽キャリアをスタートさせ、圧倒的な存在感の楽曲を生み出し続ける米津さん。
そんな彼の今が明確に形となったのはもちろん、歌詞に説得力を持たせているのも本当に素晴らしい。
メロディ・サウンド・歌詞に込められたメッセージが鋭く心に突き刺さります。
2022年7月ベストソング10選
毎月のベストソング、7月より次点曲をなしにして10曲紹介していきたいと思います。
そっちの方が単純に紹介できる曲を増やせるかなと思いまして。
あと、しばらくの間はコメントなしでメモ代わり的な感じにしていきます。
ゲームをやる時間が増えたことで記事をじっくり書く時間が取れなくなりまして…
では、7月分です。
2022年7月ベストソング
・雨燦々/King Gnu
ヌー史上もっとも爽やかなメロディが存在感を感じさせるナンバー。
夏の通り雨が過ぎ去った後の晴れた空を表現しているのが見事で、芸術的な爽やかさと言いたいほど。
井口の歌唱も曲の情景に合っていて、表現力を増している印象。
曲の持つ美しさが圧倒的。
https://t.co/AsbyQkAfSJ
「おばけが出るぞ」というフレーズをキャッチーなメロディに載せて歌ったサビが印象的なポップナンバー。
軽やかなメロディとなっていて、思わず身を委ねたくなります。
子供向けと思わせつつ、星野源さんらしい良さも感じられる良曲。
https://t.co/N11mj5J3z6
・Free Free Free(feat.幾田りら)/東京スカパラダイスオーケストラ
伸びやかなホーンサウンド、駆け抜けていくメロディの疾走感がたまらないスカナンバー。
真っ直ぐな幾田りらの歌唱は聞いていてシンプルに心地よさを感じます。https://t.co/eG2JL5F75R
・夏の帰り道/kareru
ひぐらしが鳴く夏の夕暮れならではの切なさをピアノの美しいサウンドで表現したミディアムナンバー。
間奏の心に染み渡るギターソロやginkaの儚い歌声がその情景をより引き立ててくれます。
https://t.co/bwtUet8Qhu
・栄光の扉/平井大
壮大で力強いメロディ、夢に向かって頑張る者の背中を押してくれる歌詞が心に響くミディアムナンバー。
努力した時間だけでなく、思うように結果が出ずに涙した瞬間も糧になるー。
目標に向かう過程もしっかり肯定してくれるのが素晴らしい1曲。
ウクレレのサウンドを取り入れてハワイアンを意識した楽曲のイメージが強い彼ですが、こういうメッセージソングも聞かせてくれるのが見事です。
別の方向で夏を表現していると言うか。
https://t.co/OUKbEIFweu
・Baby's Alright/[Alexandros]
Baby's Alright - song and lyrics by [Alexandros] | Spotify
・左右盲/ヨルシカ
左右盲 - song and lyrics by Yorushika | Spotify
・空蝉/Omoinotake
空蝉 - song and lyrics by Omoinotake | Spotify
・雨宿り/Penthouse
雨がしとしと降る夜をイメージしたサウンドと落ち着いたメロディに引き込まれるミディアムナンバー。
Penthouseらしくジャズの雰囲気を取り入れていて、いい意味でJ-POPの枠にはまらない曲となりました。
男女ボーカルの掛け合いも印象的。
https://t.co/LzqQADZaSv
・tokyo(feat.鈴木真真海子,Skaai)/yonawo
tokyo (feat. 鈴木真海子, Skaai) - song and lyrics by yonawo, Skaai, Mamiko Suzuki | Spotify
雨燦々/King Gnu -悲しみを水に流して我々は生きていく-
雨上がりの青空が見せる輝きと夏の爽やかさ・・・
それをメロディとサウンドで表現した、ヌーの新境地とも言える1曲。
重厚なグルーヴも維持しながらなのが見事ですね。
・雨燦々
随所で鳴り響く美しいストリングスの音色と爽やかなメロディが今までのヌーにない雰囲気を感じさせるナンバー。
井口の歌唱から感じる繊細さとリズム隊による重厚なグルーヴを維持しつつ、爽やかさが加わったことで雨上がりの青空をイメージさせる楽曲になっている印象です。
楽曲構成もイントロ・1番Aメロ~サビ、2番・Cメロからラストサビと全体的にシンプルなんだけど、その中で虹がかかる雨上がりの青空が見せる輝きを表現したことで芸術的な美しさと爽やかさも含んでいるんですよね。
最初に聞いた時は「爽やかだな~」と思ったのですが、何回か聞くうちに「単に爽やかな曲と評するのは何か違う・・・」って違和感を持つようになりまして。
夏らしい雨上がりの青空を追求した爽やかなメロディ、ヌーらしいグルーヴの中に同居する美しさと繊細さはまさに芸術的だと言って過言ではないほど。
King Gnuというバンドの圧倒的な表現力に改めて引き込まれてしまいました。
サウンドやメロディだけでなく、歌詞の表現力もポイント。
土砂降りが多い最近の夏らしい情景を交えながら、激動の時代を生きる我々に対するメッセージを歌っています。
目まぐるしく情勢が変わるこの時代を生きていると心に悲しみや悩みを抱えてしまうと思うんですよね。
でも、どんなに悲しくても結局は生きていかないといけないわけで。
せめて悲しみを空から降る雨のように流してしまえれば・・・
いつまでも引きずらないで、雨上がりの青空のように晴れやかな心で生きることが今の時代は必要なんでしょうね。
芸術的でありながら爽やかさに振り切った「雨燦々」。だからこそのメッセージは説得力があります。
まとめ
重厚なグルーヴはそのままに、これでもかというほどに爽やかな楽曲に仕上がった「雨燦々」。
メロディとサウンドの爽やかさはもちろん、前向きになることの大切さに気付かせてくれる歌詞のメッセージは今の時代だからこそ必要ではないでしょうか。
ヌーの新境地とも言える楽曲と共に注目して聞いてほしいです。
雨燦々 - song by King Gnu | Spotify
異世界混合大舞踏会(feat.おばけ)/星野源 -見えないからこそ大切に-
言うことをきかない子供に対する脅し文句の定番「おばけが出るぞ」。
星野源さんの新曲「異世界混合大舞踏会(feat.おばけ)」は、そんな言葉を源さんらしい風味が効いたキャッチーなメロディに載せて歌ったポップナンバーに仕上がりました。
リズミカルに「おばけが出るぞ」と歌い上げるサビは、程よく毒気を感じさせるのが素晴らしい。
・異世界混合大舞踏会(feat.おばけ)
打ち込みによるサウンドを軸にしたリズムが心地よさを感じさせるポップナンバー。
軽やかだけど星野源さんらしいメロディとなっていて、思わず身を委ねたくなる仕上がりです。
「SUN」や「桜の森」をイメージさせるグルーヴというのでしょうか、彼ならではのセンスに満ち溢れているのが素晴らしい。
今までブラックミュージックやR&Bの要素を取り入れた楽曲を作ってからこそ、敢えて原点に立ち返る…
タイトルのコミカルさを含めて、そんな気持ちを感じずにいられません。
何より、「おばけが出るぞ」や「うらめしや」をキャッチーに歌い上げているのが本当にたまらない。
リズミカルなグルーヴに載っかることで、愉快さを感じさせるほどなんですよね。
みんなのうた的な言葉を選んでいるのもあり、思わず口ずさみたくなるほど。
子供から大人まで、誰もが歌いたくなるのではないでしょうか。
おばけの存在を明確にする音の使い方もポイント。
イントロに入ってくるチープながらもひんやりとした空気を感じさせるシンセサウンド、サビのコーラスから感じるおばけらしさ・・・
(feat.おばけ)と曲名に入っているのを見てふざけているのかと思ったけど、しっかりと意味があるものに仕上げているのは見事ですね。
歌詞は「おばけはいるぞ」というフレーズを交え、目に見えない存在も大切にしようってメッセージを込めています。
分かりやすいので言えばご先祖様ではないでしょうか。
時代の流れでお墓参りに行かなくなった人もいると思うんですが、やはり見守ってくれている以上は敬う必要があるわけで。
目には見えないけど、我々の側でしっかり見ているんですよね。
コミカルで毒気を感じさせる歌詞の中でこのようなメッセージも伝えているのではないか、そのように感じました。
・まとめ
おばけを題材にして目に見えない存在も意識しようというメッセージを込めた今回の曲。
星野源さんらしいメロディの安心感を久々に感じたり、コミカルで毒のある作風はある意味で彼の原点を感じさせるものなのかなと。
子供から大人まで誰もが楽しめること間違いなしの名曲です。
2022年上半期ベストソング20
2月後半から続くロシアによるウクライナへの軍事侵攻、記録的な円安ドル高、食品類や燃料など様々なものが値上がりしたり…
いろんなことが起こりすぎて心が落ち着かないまま過ぎ去った2022年上半期ですが、それでもいい音楽には出会えているなと思ってまして。
毎年恒例となる上半期の振り返り、今年も20曲を選びました。
本当はアルバムも決めたかったのだけど、そこまで聞き込めてなかったために断念。
というわけで、2022年上半期のベストソング20曲をどうぞ。
2022年上半期ベストソング20
・ミックスナッツ/Official髭男dism
木の実(ナッツ類)の中に混じるピーナッツ(落花生)の気持ちを少数派でも生きていく人々に重ねて描いた歌詞が現時点で今年一番のメッセージ性を感じさせる1曲。
周りと違う考えや存在だとしても生きていくしかないー、そんな中でも力強く前向きに進む想いを感じとれるのが本当に素晴らしいんですよね。
楽曲面も秀逸と言える仕上がりで。
スリリングでジャジーなイントロのワクワク感から品を感じさせる落ち着いたAメロ、少しテンポアップしてテクニカルな演奏を押し出したBメロ、そして分かりやすく真っ直ぐなメロディがキャッチーなサビ。
ラストまで心を掴んで離さない楽曲構成は現時点で2022年の個人的ベストソングと言っても差し支えないほどです。
ミックスナッツ - song by Official HIGE DANdism | Spotify
・まつり/藤井 風
恐らく、世の中の皆さんが「まつり」というタイトルで真っ先に思い浮かべる曲と言えば、北島三郎氏の代表曲「まつり」ではないでしょうか。
北島氏のこぶしを効かせた歌唱とお祭りらしく力強いリズムが心を震わせる、これぞ日本って風景をイメージした名曲なんですけど…
私は藤井風さんのアルバムリード曲が「まつり」というタイトルになることを知った時にこう思ったんですよね。
「北島三郎さんの名曲と同じタイトル… どんな感じになるんだろう?」
藤井風さんのセンスが炸裂して未知なる曲を聞けるワクワク感と和風色が強すぎて逆に馴染まない曲になるのではという不安…
先行配信がスタートするまで、この2つの感情が心にありました。
そして迎えた3月21日の配信スタート。
アルバムはフラゲする予定だったので、仕事が終わってすぐにSpotifyへアクセスして聞くことに。
真っ先に耳に入って来たのは和の心を感じさせる美しいイントロ、そして祭り囃子をイメージした笛の音色とR&Bのリズム…
一番の聞き所であるサビは「まつり~」とリズミカルにリフレインするフレーズが心地よくて耳から離れず、気が付けば口ずさむほど。
歌詞も印象的なフレーズが多くて。
「で、一体何が欲しいわけ」と今以上にいろんなものを求めようとする人々には今の幸せを改めて大切にしようと問いかけ、「まとめてかかってきなさい」と歌うことで全てを受け入れる包容力と藤井風自身が持つ余裕を見せつける…
何が言いたいのかというと、藤井風さんの「まつり」はそのタイトルに恥じない新たな名曲ってことです。
和の要素とR&Bを融合させた、一周回って新しいポップミュージックは必聴。
まつり - song by Fujii Kaze | Spotify
この世界はダンスホール、そこで生きる主人公は君自身。
だから主体的に楽しむ気持ちで生きていこうー。
我々が生きる世界をダンスホールに見立てたことで聞く人全てが主人公として歌詞のメッセージを受け止めることが出来る・・・
どんな人の背中でもしっかり押してくれる応援ソングが誕生しました。
この世に生まれた命はいつか終わりを迎えるわけだけど、それならば全力で楽しんでみた方がきっと楽しいはず。
人間関係の難しさや困難に直面するのが人生なので辛いこともあるんでしょうけど、それでも楽しむ気持ちを持ってほしい・・・
ダンスミュージックにも通ずるリズムの良さを重視した楽曲の明るさ・軽快さと相まって、すごく前向きなエネルギーに満ちた1曲です。
今年から活動再開したバンドの前向きさも同時に感じさせてくれたのが素晴らしい。
ダンスホール - song by Mrs. GREEN APPLE | Spotify
・ミスター/YOASOBI
小説を題材にして新たな音楽を作り上げる音楽ユニットのYOASOBI。
これまでもラストサビで半音上がる構成など、王道のJ-POPを意識した曲作りが得意だなと思っていました。
しかし、この「ミスター」はそれをさらに突き詰めてきたなと。
何と言っても、80~90年代シティポップの雰囲気を感じさせるメロディとサウンドが洗練されたポップナンバーに仕上がっているんですよね。
ドラムの程よいリズムとリバーブ感は80年~90年代シティポップを彷彿とさせるかのよう。
ikuraの歌唱は相変わらずあどけなさを感じさせるけど、曲の雰囲気が違うだけでこんなにも惹きつけられるのかと実感。
しっかりと聞かせてくれました。
ミスター - song by YOASOBI | Spotify
・M八七/米津玄師
かつて「ピースサイン」という曲でヒーローになりたい気持ちを歌った米津玄師。
あれから5年、新曲の「M八七」で強いヒーローだからこそ感じる痛みを見事に描いてくれました。
楽曲は壮大で美しいメロディと力強くも優しさを感じさせるビートが背中を押してくれるポップナンバーなんですけど。
ヒーローの強さを「痛みを知るただ一人であれ」と表現することで、ヒーローの強さとみんなのために戦う存在だからこそ感じる心の痛みを表現しているのです。
痛みがわかるからこそ、誰にでも寄り添える・・・
米津さんなりのヒーロー像がこの曲で明確になったのではないでしょうか。
自然な感じに転調する2番のBメロから間奏~Cメロへの流れも見事だし、変わらない米津節にも注目して聞いてほしいところ。
M八七 - song by Kenshi Yonezu | Spotify
・Rock The World/[Alexandros]
人は困難を乗り越えることで強くなれるー。
ドロスらしいメッセージの強さで一生懸命になることの素晴らしさを歌った歌詞が背中を押してくれるロックナンバーとなりました。
ストレートなギターサウンドとピアノが織り成すメロディは爽やかでありながら、シンプルな良さがあります。
王道のギターロックでありながら、ドロスらしい演奏のキレも楽しめる・・・
やっぱりドロスの曲はこうでなければ! 改めてその素晴らしさを感じさせてくれました。
Rock The World - song by [Alexandros] | Spotify
・あの夏空へ/kareru
ここ最近、二人組の音楽ユニットからグッと来る夏歌が生まれているなと感じます。
昨年はなかったものの、2020年のYOASOBI「あの夢をなぞって」、ヨルシカの「花に亡霊」・・・
二曲とも夏の儚さを上手く描いているなと感じるんですけど。
今年はどうなんだろうと思っていたところ、その流れを汲んでいるなと感じる夏歌が出てきました。
それがkareruという音楽ユニットによる「あの夏空へ」という曲なんです。
夏の青空から感じる爽やかさを表現したシンプルなギターロックナンバーとなっていて、分かりやすいメロディに引き込まれる仕上がりで。
メロディの疾走感やサウンドの雰囲気はありがちなものの、夏という季節を表現しているのが素晴らしい。
ginkaの美しく儚げな歌声と爽やかさに振り切ったメロディは夏の眩しさから儚さまで余すことなく表現していると言えます。
そんなわけで、2022年の夏歌で一番好きな曲となりました。
あの夏空へ - song by kareru | Spotify
・喜劇/星野源
星野源さんの曲で家族をテーマにしたものと言えば、2017年リリースの「Family Song」がありますが・・・
今回の「喜劇」もその流れを意識した心が暖まるポップソングだと感じました。
一つ違うのは、洋楽テイストやR&Bの落ち着いたリズムを取り入れたことで洗練されたポップスに仕上がっていることでしょうか。
最近の星野源さんらしくDAWによる打ち込みサウンド主体でありながら、暖かみを感じさせる曲になっているんですよね。
結婚を経たからこその視点で描かれた歌詞はより深みを増した印象です。
過去の曲をより深めた形にしているのが見事だなと。
喜劇 - song by Gen Hoshino | Spotify
・Somebody/SOMETIME'S
良質のポップミュージックを奏でる男性二人組の音楽ユニット・SOMETIME'S。
彼らのアップナンバーは聞いているとどこかワクワクする感覚を味わえるのがポイントだと思ってまして。
この曲もイントロからそんな感覚に陥らせてくれたんですよね。
ギターサウンドの爽やかなメロディ、それを引き立てるホーンアレンジが印象的なポップナンバーで程よいテンポがそれを増幅させている印象。
特に、サビの軽快さは曲の晴れやかさをこれでもかと感じさせてくれます。
間奏における電子音の閉塞感から解放感たっぷりな展開に変わる瞬間は圧巻で、爽やかなメロディがより際立つなと。
熱量のあるボーカルとそれに絡むコーラスの爽やかさといい、先行き不明な時代だからこそ聞いてほしい1曲です。
Somebody - song by SOMETIME'S | Spotify
・桃源郷/yama
歌謡曲テイストを感じさせるブルージーなメロディとyamaのクールな歌唱が印象的なポップナンバー。
どこか懐かしい雰囲気を感じさせるだけでなく、yamaの歌唱にある魅力もしっかりと伝えているのがポイント。
歌唱の魅力とメロディの存在感に引き込まれる1曲です。
・単焦点/Penthouse
クラシック的で穏やかなイントロ、全体に渡ってジャジーなメロディがオシャレさを感じさせるミドルナンバー。
男女ボーカルのハーモニー、洗練されたピアノの音色に心を奪われる仕上がり。
ジャズを意識した間奏の雰囲気も素晴らしく、一種の芸術作品を聞いているかのよう。
J-POPという枠にとらわれず、自分なりに音楽を追求して聞かせる曲を作りたい気持ちが伺えました。
単焦点 - song by Penthouse | Spotify
・わたし/SixTONES
ピアノのシックな音色を軸にした美しいメロディとそれに乗っかる6人の歌唱が圧倒的なバラードナンバー。
落ち着きと色気を感じさせる歌唱は聞き手をしっかり惹き付ける魅力があります。
いつもより6人の歌声を活かした仕上がりになっているのが見事。
彼らとしては今までにない雰囲気の楽曲に、私の心がありえないくらいに奪われてしまいました。
いい意味でジャニーズとは言わせない、そんな決意も感じずにいられません。
SixTONES – わたし [YouTube ver.] / Watashi [YouTube ver.] - YouTube
・It's All About You(feat.SIRUP)/Ovall
爽やかさを感じさせるギターサウンド、軽やかなビートの心地よさが非常にリズミカルなポップナンバー。
オシャレなトラックに乗っかるSIRUPのボーカルは存在感があって、曲の魅力を最大限に引き出しています。
間奏で聞かせるピアノとギターによる演奏もジャケットの夕日をイメージさせてくれるかのよう。
心地よいリフのギターと相まって、素晴らしいグルーヴ感を持った1曲です。
身を委ねていたくなるほどの心地よさがたまりません。
It's all about you - song by Ovall, SIRUP | Spotify
・Space Traveler/TAIKING
シンセサウンドの浮遊感、軽やかなリズムによるグルーヴが宇宙空間をイメージさせるポップナンバー。
シティポップのようなオシャレ感を持たせながら、キャッチーさに満ちたメロディは心地よく聞きやすい仕上がり。
伸びやかなギターサウンドから感じる開放感もあって、夜のドライブで流すと雰囲気が増しそうです。
Space Traveler - song by TAIKING | Spotify
・PINK/キタニタツヤ
スリリングでスタイリッシュなメロディのカッコよさが印象的なアップナンバー。
鮮やかなピンク色の桜をテーマにした歌詞なんだけど、その実態は狂気に満ちた内容になっているんですよね。
「あの樹の下には×××が埋まっている!」や「あんたの中身のピンクを眺めていたい」など、今までの桜ソングにおける常識をいい意味でぶち壊しています。
どことなく感じるスリリングさがその世界観とすごくマッチしているなと。
3分に満たない曲でありながら、心にしっかりと爪痕を残してくれた1曲です。
PINK - song by キタニタツヤ | Spotify
・Grow Old With Me/SHE'S
多幸感に満ち溢れた軽やかなピアノのメロディ、爽やかさを感じさせるホーンサウンドが印象的なポップナンバー。
サビの高揚感と言いますか、シンガロングしたくなるような解放感はシンプルに引き込まれる仕上がり。
程よいテンポでリズムを刻むドラムもあって、手拍子までしたくなるほど。
これからの未来を二人でよりよいものにしようと歌った歌詞の素敵さも秀逸。
Grow Old With Me - song by SHE'S | Spotify
・YOKU/Eve
エレクトロミュージックを意識しながらも落ち着いたトラックの雰囲気が印象的なミディアムナンバー。
サビ終わりのメロディはEDMのドロップに通ずる存在感があります。
洗練されたメロディもあって、アルバムの中でも上品さが際立つ1曲となりました。
いい意味で「歌い手アーティスト」に抱いていたイメージを超えて来たなと。
こういう系統の曲も出来るんだという驚きがあります。
YOKU - song by Eve | Spotify
・i care/Homecomings
Homecomingsらしい素朴さを感じるサウンドとメロディが暖かなポップナンバー。
ゆったりでありながら軽やかに聞かせるベースとギターの旋律は身を委ねたく心地よさがあります。
サビの伸びやかな歌唱や前向きな気持ちを歌った歌詞も含め、春ならではの爽やかさを表現した1曲となりました。
i care - song by Homecomings | Spotify
・LOUDER/SPiCYSOL
重厚なドラムを軸としたグルーヴ、シンセの涼しげなサウンドがシンプルに心地よいポップミュージック。
落ち着いた雰囲気を感じさせる間奏のピアノサウンドは短いながらもしっかりと心に残るフレーズを奏でています。
Kennyの伸びやかで爽やかな歌声も含め、本当にリラックスできる1曲。
メロディとグルーヴに身を委ねて聞き浸りたい・・・
LOUDER - song by SPiCYSOL | Spotify
・カメレオン/King Gnu
ピアノによる美しいメロディと井口の繊細な歌唱が印象的なバラードナンバー。
J-POPの王道を意識したメロディとヌーらしいグルーヴを感じさせるバンドサウンドに引き込まれる1曲。
3分とシンプルな構成の曲に感じるんだけど、間奏でクラシカルな雰囲気にしてみたりとヌーならではの音楽的こだわりも垣間見えるのがポイントでしょうか。
変わり果てた君を想う気持ちが歌われた歌詞と相まって、楽曲に漂う切なさが際立っていると感じました。
Chameleon - song by King Gnu | Spotify
上半期を振り返って
いろいろありすぎた2022年の上半期ですが・・・
例年以上に歌詞よりもメロディやサウンドなど、音楽面を重視した選曲になったのではと思っています。
世の中が騒がしいからこそ、音楽くらいは「歌詞なんか度外視して音を楽しみたい」という私の心が表れたのではないかなと。
7月に入ってからも既に大きな出来事が起きてしまってますが、これからの行く末はどうなるのでしょうか?
不安に思うだけ仕方ないので、下半期もいい音楽に出会えることを楽しみにしたいところです。