高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

Perfume「JPN」 -Perfumeの新たな一面(2011年当時)-

Perfumeにとって三枚目となるアルバム「JPN」。

既発曲が9曲でインストを除いた新曲は4曲と、ほぼベストアルバム的な内容になっていたので不安があったのですが・・・

既発曲のアレンジや曲順もあって、聞くまで抱いていた心配は吹き飛んでしまいました。

バッキバキのエレクトロサウンドを薄めにし、J-POPの軽快さを押し出した楽曲が多くなっています。

全体的な聞きやすさが印象的なんですけど、決して手を抜いていないのが伝わってくる仕上がり。

アルバムタイトルの「JPN」に相応しい内容です。

 

特に、出だしの3曲は圧巻で。
厳かな雰囲気の漂う電子音が印象的なイントロトラックの「The Opening」から始まり、mixされてより爽快さの増した「レーザービーム(Album - mix)」、そのまま違和感なくイントロへと繋がる構成に驚かされた「GLITTER(Album-mix)」。

これだけでも既発曲で絞められているアルバムとは思えない仕上がりに感じられました。

今まで聞き倒した曲たちなのに全く違って聞こえる・・・

これぞ、アレンジの成せる技か。

 

「ねぇ」から「VOICE」にかけてのシングル曲4連発も曲順が絶妙でして。
アレンジが全く加えられていないのですが、新曲を聞いているかのような感覚になってしまいます。

オリジナルの良さをぶち壊してないため、より素晴らしく聞こえました。

それらの要因が上手く作用しているためか、聞いている間のワクワク感が止まりません。
新しいことに挑戦しようとする3人とヤスタカ氏が意気投合しているからこそ、こんな素晴らしい作品となったのです。

シングル曲が多いのをカバーすべく、アルバム曲において新しい要素を取り入れたのも好印象。

少しマンネリ化していたものの、進化を続けるPerfumeを感じられた良作です。

 

以下、全曲レビュー

1.The Opening
厳かな雰囲気を演出するシンセがアルバムの幕開けを告げるかのようです。
盛り上がり過ぎないようになっているのも、「レーザービーム」のイントロでインパクトを与えるためなんでしょうね。

 

2.レーザービーム (Album - mix)
いつもよりテクノ色の強いポップナンバーに仕上がっていました。
懐かしさと近未来っぽさが同居したシンセサウンドが同じフレーズを繰り返していて、これが病みつきになるんですね。

イントロとAメロの構成も素晴らしく、曲に引き込まれていくのが見事。

ファミコンサウンドを髣髴とさせるシンセの音色もバッキバキのテクノサウンドにマッチしています。
歌詞の歌い回しが印象的なサビもキュートなので、そこにも注目して聞いてほしい。

自分に注がれる視線をレーザービームに例える女の子の気持ちが描かれた、この曲にピッタリ。

 

 

3.GLITTER (Album - mix)
レーザービームからの繋ぎが絶妙。

アレンジも大幅に加えられており、シングルで聞いた時よりも勢いを感じました。

カッコよさを維持したテクノサウンドとキュートさの融合がこの曲の魅力でしょう。

 

4.ナチュラルに恋して 
最初に聞いた時はとっつき難い曲だと思ったんですが、何度も聞くうちにそうでもないと感じるように。

スローテンポな曲調だけど軽やかでポップなメロディが春らしくていい。

重厚感あるアレンジなのにそう感じさせないのが見事。
なお、歌詞は恋愛に積極的な女の子を描いたものになっています。

タイトル通りの「ナチュラルに、そして大胆」。

 

5.MY COLOR
キラキラしたシンセアレンジが冴えわたるテクノポップナンバー。
ノイジーに鳴らされるトラックも健在で、中田ヤスタカ氏の力量を感じさせます。

 

6.時の針
優しくも、儚げにアレンジされたしっとり目のバラードナンバー。
今までにない雰囲気の楽曲で新鮮に感じました。

短いながらも、インパクトは充分。

 

7.ねぇ 
詞やサウンドはいつものヤスタカ節が炸裂しているといった印象ですが、パンチの効いたトラックが素晴らしい。

音の歪ませ方も絶妙で、重厚感を感じさせるようになっているエレクトロチューンといった感じでしょうか。

 

何より、間奏のサンプリングとサビで繰り返される「ねぇ」の繰り返しが耳から離れない。

単純だけど、それこそが中毒性を増す要因になっているのです。

もちろん、踊ることを意識したエレクトロサウンドも一役買っているのでしょう。

キラキラしたアレンジもこれから来たる冬にはピッタリな感じで、PVともマッチしているのがすごくいい。

 

8.微かなカオリ 
テクノ成分を抑え目にして真っ直ぐな恋の気持ちが描かれた可愛らしいポップソング。
Perfumeらしさはあまりないけど、ストレートな構成の楽曲と歌詞が恋する女の子の素直な気持ちを表現しているかのようです。

間奏やAメロ・サビにおけるキーボードとアコギの優しい音色もアクセントになっているので聞きやすい。

サビにおける3人の歌唱(声が変わっていく箇所が圧巻)も印象的。
それでいて、ヤスタカ節を感じさせるビートが効いているのが素晴らしい。

Perfumeの新たな魅力を引き出してくれたといってもいいでしょう。

 

9.575 
ミディアムテンポのテクノポップながらも、バックのシンセサウンドが和の雰囲気を感じさせる一風変わったナンバー。

ラップが入っていたのにはビックリしましたが、これも彼女らの可愛さを表現しているって事なんでしょうか。
歌詞は「5・7・5」を意識して作られているのが面白い。

それでいて違和感がないというのがすごいというか。

 

10.VOICE 
いつものヤスタカ節が炸裂したエレクトロサウンドながらも、中華風アレンジが施されていて新鮮に感じました。

そのおかげでテクノポップさがより強調されていると思います。

ベースとなるディスコビートの刻むリズムもいい感じになっていて、歌声もあまりエフェクトがかかってなくて聞きやすい曲に仕上がっている印象。

Cメロからラストに向かう箇所の展開もグッド。

 

11.心のスポーツ
シンセの適度なピコピコ音がレトロさを感じさせるアイドルポップス。
サビで解放感に満ちた展開へと移行する瞬間が爽快で三人ならではの魅力を引き出しているように感じました。

可愛らしく歌われているのも印象的。

 

12.Have a Stroll
軽やかな打ち込みビートがキュートに刻まれるポップソング。

シンセの音色が爽やかさを演出すると同時に近未来的な雰囲気を感じさせます。

この浮遊感がたまらない。

「ないの~」と脱力気味にリフレインされる箇所も印象的。

 

13.不自然なガール

攻めの姿勢を感じられるエレクトロサウンドが印象的なアップナンバー。

打ち込みの力強いディスコサウンドは相変わらずの中毒性があります。
歌詞に描かれた恋愛に対して受け身になっている女の子の姿も印象的。

 

14.スパイス
ハウスミュージックの要素を取り入れたテクノポップナンバー。
派手にならない曲展開が3人の大人っぽさを押し出していて普段と違う印象を受けました。

ここ数曲続いていたJ-POP調のアレンジを打破するかのような楽曲に仕上がっているのが見事。

楽曲の表情も実に豊かで、シンプルながらも新たな魅力を感じることが出来る1曲。

 

まとめ

テクノポップユニットとして勢いに乗っているPerfume
本作は2011年当時の勢いに満ちた彼女たちを表現しきった1枚と言えるでしょう。

大人っぽさを引き出した「スパイス」をラストに持って生きていたことで、今後の活動に向けての決意も感じられました。