スフィア「Spring is here」 -春の訪れを声のハーモニーで表現-
タイトルが表す通り、春が来たかのような雰囲気が漂うアルバムに仕上がっていました。
4人の幸せそうな歌唱が非常に印象的。
ジャケットでの衣装カラーがピンクなのですが、楽曲や歌唱で春を表現したこの作品にはピッタリでしょう。
既発曲の多さが気になるところではありますが、世界観を表現するためには仕方なかったのでしょうね。
その分、「Spring is here」を始めとした新曲は素晴らしかったので言うことはありません。
6曲とも彼女らのキュートさや表現力を活かした歌唱が実感できるものになっており、満足のいく出来だと言えます。
それだけでなく、大人っぽさも兼ね備えているってのが見事。いい意味での落ち着きも感じられました。
曲の配置も絶妙でアルバムとしてきちんと構成が成されているんですね。
各曲が適材適所に配置されているために、聞きやすさも。
総合的に前作よりもオススメしたい1枚です。
・以下、全曲レビュー
1.Spring is here
春の始まりを予感させるピアノによる美しいイントロが印象的。
曲が進むにつれて、テンポアップしていく展開がいい感じ。
壮大さも感じさせているのが見事で、2回目のサビ直後に開放的なDメロを入れてくるってのが素晴らしい。
4人のコーラスワークも絶妙です。
また、歌詞に遊び心があるのも面白い。
それぞれのソロパートで「遥か」や「愛」などといった、メンバーの名前で使われている漢字を入れていたりと二作目ならではの余裕も感じました。
楽曲全体で進化したスフィアをアピール出来ていると思います。
2.Now loading...SKY!!
夏にピッタリなサマーディスコポップナンバー。
聞いていて非常に爽やかな感じで、イントロから夏の日差しを感じさせてくれます。
明るい曲調ながらもどこか癒される仕上がりなのがたまりません。
暑い夏というよりは、ハワイやグアム、バリ島などの空気をイメージしている印象。
ガットギターのサウンドやホーンアレンジ、パーカッションの音もいいアクセントになっています。
歌詞は恋する女の子の気持ちを何かの作戦に見立てて表現しているのが印象的。
畑亜貴さんの作詞らしく、すごく可愛らしく感じられましたね。
3.キミが太陽
スフィアの元気さを切り取ったかのような、ポップでパンキッシュなナンバー。
各メンバーの歌い方も明るさを前面に押し出していて、聞いているだけで元気になれます。
歌詞とメロディも含めて、ネガティブな気持ちを吹き飛ばしてくれるくらいに前向きな曲でして。
何より、メロディが爽やか。
ドラムのアレンジやギターリフは、すごくいい感じに仕上がっています。
4.REALOVE:REALIFE
ギターサウンドの効いた、どこかデンジャラスな香りのするガールズロック調ナンバー。
イントロの入り方がすごくカッコいいし、4人の歌い方がすごくクール。
大人の魅力と言いますか、それを押し出した感じになってる印象。
特に、高垣さんの歌唱は圧倒的です。
5.Congratulations!!
幸せそうな感情がひしひしと感じられる、大人のムード満点なジャズ風味のナンバー。スウィングするメロディに乗せて聞かせる4人の歌唱は、また違ったものが感じられるものになりました。
同時に、もっとも驚いた曲でもあるわけで。
歌いこなすのが難しそうな曲なんだけど、それを絶妙なコーラスワークで聞かせてくれてるのが見事。
彼女らの成長も同時に感じられる佳曲です。
6.手のひらに夢
1stアルバムに収録されている楽曲の路線を意識したミドルチューン。
1曲目のようなロックナンバーもいいですが、やっぱりスフィアの4人にはこちらの方がピッタリ。
同じく大人っぽさをアピールしているけど、こちらは落ち着いていて気品が漂うナンバーに。
7.風をあつめて
爽やかさを感じさせるメロディと4人のコーラスワークが絶妙にマッチした、良質のポップナンバー。
アコギやシンセのきらびやかな音色と躍動感を感じさせる低音が効いたアレンジで効かせる歌唱もなかなか。
イントロでの歌唱やサビで魅せるコーラスも含め、彼女らの実力がいかんなく発揮された曲と言えるでしょう。
それでいて、キュートさも感じさせるのが見事。
8.かってな成長期
こちらも可愛らしさを前面に押し出してた1曲
とにかく曲そのものがキュートな仕上がりで、ポップさがあることにより引き立っている感じです。
どこか懐かしさも感じられるメロディが意外とツボです。
個人的にはギターサウンドやドラムのビートを効かせているのが素晴らしい。
歌詞も元気さを感じられて、スフィアの4人が歌うにはピッタリなんじゃないでしょうか。
わがままさを感じられる内容がまさに「かってな成長期」。
9.MOON SIGNAL
美しさとシリアスな雰囲気が同居したポップチューン。
打ち込みビートによる力強いメロディとピアノやシンセなどの「和」を意識した音使いが印象的なんですよね。
イントロの神秘的な感じ、アレンジや構成も含めて曲の持つ世界観へと引き込まれていく感覚は圧巻。
4人の歌唱もソロパートでは儚げに、サビでは力強く歌い上げる・・・
今までにない新境地を感じられたと同時に、表現の幅も広がっているように思います。テンポも早めなのに、安定した歌唱となっていて成長も見られました。
10.By MY PACE!!
懐かしさを感じさせるシンセのアレンジとアップテンポなビートが印象的なナンバー。
サビの「根拠はなくてもケセラセラ~」がすごく耳に残るんですよね。
歌唱における柔らかさやメロディの効果もあってか、可愛らしい曲に仕上がっているのです。
春らしくキラキラしたイメージにしているのもアルバムの雰囲気にピッタリ。
11.Brave my heart
打ち込みドラムによるアレンジが印象的なアップナンバー。
出だしで「away away away イマ・ドコ?」などを繰り返す展開が中毒性を含んでいるのですが、素晴らしいコーラスワークも聞かせてくれる。
スフィアらしさが出た1曲です。
12.クライマックスホイッスル
パンキッシュなメロディに4人のキュートな歌唱が絶妙に絡み合ったガールズロックナンバー。
表題曲もいいんだけど、4人にはこういった元気さを感じられる曲がピッタリ。
同じ系統の「REALOVE:REALIFE」でも感じられたのですが、豊崎さんの声と曲のギャップがたまりません。
今回は歌い出しが豊崎さんなので、意外性があって面白いです。
「不意打ちピンチは~」と歌っているのも、聞き手にインパクトを与えるためなんだろうなと。
メロディ面でも聞きどころがあってなかなか楽しませてくれます。
少し軽やかなパンクナンバーだけに多少の物足りなさはあるものの、間奏のギター演奏はすごく好み。
13.夢奏レコード
終盤へと向かっていくアルバムを彩るバラードナンバー。
しっとりとした4人の歌唱や温かみを感じさせるメロディが印象的。
何と言っても、サビでのコーラスワークが非常に素晴らしい。
14.虹を駆ける旋律
2分くらいの短い楽曲なんですが、アカペラをイントロで披露しているのが見事。
4人の絆やコーラスワークの凄さを改めて実感できました。
ピアノの美しい音色もそれを引き立てている印象。
しんみりとした雰囲気がアルバムのラストに相応しい。
・まとめ
着実に実力を伸ばしているスフィアですが、今作でそれを強く実感しました。
打ち込み色の強かった楽曲からジャズアレンジが効いたナンバーまで、幅広く歌いこなせるようになってきたなと思います。
歌唱による表現やコーラスワークをより楽しめる1枚ではないでしょうか。