高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

高橋優「この声」-声で伝える想い-

厳しくも聞く者の背中を押してくれるメッセージアルバム。

 

・全体的な感想

前作「リアルタイム・シンガーソングライター」から約1年ぶりとなる本作。
2ndアルバムでも、変わらず世の中に対するメッセージを歌っています。
世の中に対する怒りや不安が主なんですけど、希望も感じさせるのが彼らしい。
それは安っぽい言葉じゃなく、現実を見据えた上でのメッセージなんですよね。
あえて社会の厳しさも歌いつつ、同時に生きていこうと力強く歌っている。
まさに今を生きる人々へと向けられたアルバムなのです。

楽曲自体もすごく聞きやすいといいますか。
複雑さを排除したシンプルなメロディーなので、歌詞もすんなりと入ってくる。
アルバムに込められたメッセージを最大限に伝えるため、計算されているのでしょうね。
高橋優さんの声も力強く、感情が伝わって来ます。

 

・全曲レビュー

1.序曲
ギターノイズから始まるロック的なイントロナンバー。
アコギを掻き鳴らしながら歌う高橋優さんですが、彼の歌詞はメッセージ性が強い。
ある意味でロックとも言える、そんなアルバムの幕開けにふさわしい1曲。

 

2.蛍
「序曲」の流れから続く高橋優流のロックナンバー。
パンチの効いたロックサウンドが印象的で、彼の力強い歌唱にもマッチしています。
世の中への怒りや疑問をストレートに綴った歌詞も心にグサっと来ます。

 

3.誰がために鐘は鳴る 
聞く者を優しく包み込むギターのリフやストリングスが印象的。
美しいメロディが素晴らしいの一言です。
夢を追い続ける人を応援する歌詞と相まってか、じんわりと沁み込んくるんですよね。
どんなに苦しい状況でも、明日を信じて進み続ける・・・
前を見ることが大事なんでしょう。

 

4.雑踏の片隅で 
アコギの心地いい旋律、ハーモニカの爽やかな音色がいいアクセントになっています。
希望を感じさせる歌詞が印象的なんですけど、現実を見据えた上で歌っているのが斬新。
社会の嫌な面も歌っているために単なる綺麗ごとで終わっていない。

だからこそ、以下のフレーズが映えるんです。
誰以上でも誰以下でもない 僕らの道は明日へと続く
なけなしの愛情を振り絞り それぞれのゴールを目指して
何と言いますか、全体的に歌詞が圧倒的。

 

5.気ままラブソング 
軽快なギターリフがコミカルさを感じさせる、高橋優らしいラブソング。
楽しむときには目いっぱい楽しもう、歌詞からはそんな気持ちが伝わって来ます。
いつまでも気張ってばかりいても疲れてしまう・・・
だから、気ままに楽しみましょう。

 

6.あなたとだから歩める道 
「あなた」への想いを真っ直ぐに綴ったラブソング。
感謝の気持ちも織り交ぜた歌詞が素晴らしく、他のラブソングとは一線を画しています。
「好き」だとか「愛してる」などのありふれたフレーズを使用していないのが好印象。

 

7.卒業
過去からの脱却―。
それが高橋優の「卒業」という曲に込められたメッセージなんでしょうね。
ずっと過去に捉われていても何も変わらない・・・
だったら、一歩踏み出してみようじゃないか。
そこには素晴らしい今があるから。

でも、決して過去を否定しているわけでもないんです。
どんな昨日さえもあってよかったと讃え合おう 呆れるほど
過去があったからこそ、今の自分に繋がっているのですから・・・

ピアノとストリングスによって構成された美しいメロディも印象的です。
高橋優さんの感情を込めた歌い方にも心を掴まれました。

 

8.この声
高橋優さんの真骨頂とも言える弾き語りナンバー。
ハーモニカの哀愁漂う音色がいい意味での素朴さを生み出しています。
シンプルだからこそ、響くものがある。

 

9.一人暮らし 
一人暮らしで感じる様々な感情を歌ったミドルソング。
アコギのシンプルなサウンドのおかげで歌詞がすんなりと入ってきます。
日常を描いているだけあって、どの歌詞も共感してしまう。
なかなか侮れない1曲。

 

10.誰もいない台所 
彼が路上時代に歌っていた曲をリテイクしたものですね。
別れた時の辛さを歌っているだけに、サビで連呼される「会いたい」が切ない。
君といた時間がいかに楽しかったかってのを歌っているんでしょう。
ピアノとストリングス、アコギによる優しいメロディが包み込んでくれる1曲。

 

11.蓋 
休日くらいは誰にも邪魔されず自由に過ごしたい―。
誰しもが思う気持ちを代弁したポップソングに仕上がっています。
でも・・・
人間、結局のところは自分優先な生き物でして。
そんな醜い一面を歌っているようにも感じました。

 

12.絶頂は今
叫ぶかのように歌う高橋優さんの歌唱が印象的なギターロック。
疾走感のあるバンドサウンドが実に爽快。歌詞もガツンとぶつかってきます。

 

13.セピア
最後を飾るにふさわしいバラードナンバー。
ピアノを基調とした美しいメロディで後半に向けて盛り上がっているのがいいですね。
高橋優さんの優しい歌唱にも心を奪われてしまいます。

ずっと僕らの絆 消えないように・・・
笑顔のさよならにしよう
進路の都合などで遠くに離れることになっても笑顔でさよならをしよう。
絆があればまた会えるのですから・・・

 

・まとめ

前作「リアルタイム・シンガーソングライター」から1年足らずでリリースされた本作。

歌詞の世界観も研ぎ澄まされ、高橋優らしさも増しているように感じました。
彼の熱いメッセージを感じとりながら聞いてほしい1枚です。

 

この声(通常盤)

この声(通常盤)