高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

スピッツ「醒めない」-醒めることのない、音楽への想い-

全体的な感想

前作「小さな生き物」から約3年ぶりとなるスピッツの「醒めない」。
ここ直近の二作に比べ、音の力強さが増している印象です。
まるで初期の作風を髣髴とさせるような感じなんですね。
自分たちの音楽に対する醒めない想いを音楽として表現しているような・・・
その結果、シンプルながらも真っ直ぐなロックアルバムとなっています。

親しみやすいメロディはもちろん、ロックバンドらしいギターサウンドも健在。
バンドとしての魅力が醒めることのないスピッツの実力を改めて感じられました。
ポップでキャッチーだけど、疾走感がたまらないリード曲の「醒めない」。
前半のポップな展開と転調後のうねるギターサウンドとのギャップが印象的な「子グマ! 子グマ!」。
メロディの美しさとスピッツの持つ繊細さが融合した「ヒビスクス」。
アルバム全体でスピッツというバンドを表現しているのが素晴らしい。

醒めることのないスピッツの想い・らしさが詰まった「醒めない」。
シンプルな作風だからこそ、味わえる魅力がこのアルバムにはあります。

以下、全曲レビュー

1.醒めない
キャッチーでありながらも、適度な疾走感がたまらないギターロック。
サビの爽快感やドラムのリズムにギターの旋律・・・
全てが心地よさをもたらしてくれます。
過去があるから今に繋がっているという歌詞も印象的。
曲の持つ軽快さが進んでいこうという想いと重なっています。

2.みなと
穏やかで力強いベースの奏でるイントロが印象的。
アコギを主体とした爽やかなメロディにも心を奪われます。
大切な人に会いたい想いを歌い上げた歌詞にピッタリではないでしょうか。
スピッツらしくシンプルな構成の楽曲だからこそ、それが伝わって来る。
間奏の口笛が歌詞に込められた想いをより増幅させていると感じました。

3.子グマ!子グマ!
ポップでキャッチーな前半部と軽快なサビは耳馴じみのいいメロディなんですが。
転調後のギターとベースがうねる展開は実にスリリング。
逃げる子グマの姿を連想させつつも、重厚な演奏に圧倒されます。

4.コメット
イントロのピアノと優しいバンドサウンドが心に沁みるミドルバラード。
棘のないマサムネの歌唱に引き込まれてしまいました。
美しいメロディに身を委ねて聞きたい1曲。

5.ナサケモノ
ゆったりとしたテンポでありながらも伸びやかなサビが印象的。
ギターフレーズが意外と耳に残りますね。

6.グリーン
少しずつ盛り上がっていくギターサウンドがたまらないロックナンバー。
疾走感を増すごとに気分が高揚してくるんですよね。
ストレートに想いをぶつけた歌詞の言葉選びもスピッツらしさに満ちています。
火焔土器という単語も含め、熱さに満ち溢れた1曲。

7.SJ
スローテンポの楽曲ですが、ゴリゴリとしたバンドサウンドを聞かせてくれる。
ギター、ベース、ドラム・・・ 全ての楽器が織り成す音の厚みは必聴。

8.ハチの針
ハチの針をイメージしたような、尖ったギターサウンドがたまらない。
荒々しく聞かせてくれる間奏はもちろん、ベースラインの重厚さも圧巻。
ある意味でスピッツの真骨頂とも言えるサウンドを楽しめる1曲。

9.モニャモニャ
温かさと柔らかさを含んだバンドサウンドが印象的。
ゆったりとしたメロディラインがモニャモニャの温かさを表現しているのでしょうか。

10.ガラクタ
スピッツらしい言葉のチョイスとうねるベースラインが炸裂したロックナンバー。
攻撃的なサウンドも相まって、スピッツの尖った一面を堪能できます。
ひねくれた世界観と掻き鳴らされるギターサウンド、これぞスピッツと言える1曲。

11.ヒビスクス
ピアノのイントロ・アウトロ、サビに向けて壮大さを増す美しいメロディ・・・
スピッツの持つ繊細さと力強さがいかんなく発揮された名曲。
サビの軽快さもポップで心地良さを感じさせてくれます。

12.ブチ
スピッツらしいひねくれた感に満ちた1曲。
シンセの音色がサウンドによりポップさを持たせています。

雪景色を連想させるような美しいメロディが印象的。
ギターのイントロから穏やかな冬の情景が浮かんでくるんですね。
いつも以上に優しいマサムネの歌唱にも注目。
楽曲の持つ儚さを壊さないように感情を抑え、囁くように歌い上げています。
問いかけながらも、歩いていく者の背中を押してくれる歌詞だからでしょうか。
「無敵の微笑み」などといったスピッツらしい単語も健在。

14.こんにちは
どこまでも進んでいける―。
バンドの強い想いにも感じられる歌詞が印象的なロックナンバー。
力強くうねるギター、ベースラインからそれが伝わってきます。
ストレートなギターサウンドはシンプルだけどたまりません。

まとめ

彼らの音楽に対する想い・・・
本作ではそれを感じられるのではないでしょうか。
熱い想いが醒めないからこそ、聞き手にも楽曲が伝わってくる。
スピッツの新たな名盤がここに誕生したと言えるでしょう。

評価:★★★★★

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