高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

星野源「YELLOW DANCER」-生きるために踊る-

今を生きるためのポップミュージック。

曲目

1.時よ   
2.Week End  
3.SUN   
4.ミスユー  
5.Soul
6.口づけ   
8.Nerd Strut   
9.桜の森   
10.Crazy Crazy   
11.Snow Men   
12.Down Town  
13.夜
14.Friend Ship 

全体的な感想

星野源さんの四作目となるアルバム「YELLOW DANCER」。
ブラックミュージックの要素を分かりやすくポップスとして昇華した傑作です。
前作「Stranger」にもゴスペルを取り入れた楽曲はあったものの、本作は本格的に溶かし込んだ印象。
ソウルフルに歌い上げる星野源さんの歌唱もあり、エネルギッシュな一枚になりました。
そのような作品に仕上がった背景には、半年間の活動休止が影響しているのでしょう。

くも膜下出血で入院し、音楽を聞く気力も失いかけていた星野源さん。
そんな彼を救ってくれたのはPrinceの「I Wanna Be Your Lover」なんですね。
この曲を聞いてここまで立ち直れたからこそ、同じような気持ちになれるアルバムを作りたい…
その想いがエネルギッシュでポジティブなアルバムを完成させたんだと思います。

実際、聞いていると晴れやかな気持ちになれるんですよね。
どの楽曲にも共通しているのは前向きな気持ちが詰まっているってこと。
歌詞にマイナス言葉が出てこないのはもちろん、「踊る(り、れ)」という単語がよく出てきます。
心が躍りたくなるような音楽とでも言うべきなんでしょうか、そんな感じ。
本当に音を楽しんでいる感覚を味わうことが出来ました。
リラックスしたい時に聞きたい、究極のポップスがここにはあります…

全曲レビュー


1.時よ
止まることのない時の流れを疾走感のあるメロディで表現したポップス。
どんな状況でも時は流れるわけだから立ち止まるんじゃない、歩み続けよう…
ポジティブさが印象的な一曲。

2.Week End  
軽快なメロディが印象的なジャズポップ。
週末の楽しそうな雰囲気を肌で感じられるのが見事。
自然とワクワクしてしまう、音楽そのものと言える曲。
ベースのうねりも心地よい。

3.SUN
小気味いいギターのカッティングと軽快なリズムが織り成す、星野源さん流のダンスミュージック。 
曲名が意味する通り、聞いてるだけでも明るくなれるんですね。
ギターのカッティングが生み出す心地よさがたまらない。
星野源さんの音楽に対する思いを感じられる歌詞も印象的。

4.ミスユー
ピアノとベースによるシックな響きを楽しめるジャズナンバー。
終わりのあとには始まるものがあると世の中のポジティブさを歌っているのも印象的。
別れのあとにある出会いもまた同じなんですよね…

5.Soul
ゴスペルのような、サビの力強いコーラスに引き込まれる。
何と言いますか、心が洗われるようなんですよね。
「すべては心が」と心の持ちようが大事ってメッセージにもグッと来る。

6.口づけ
アコースティックギターによるシンプルな弾き語りを楽しめる。
濃厚な世界観のラブソングと言える歌詞も印象的。
   
軽やかに跳ねるドラムのリズム、気持ちいいスウィングを生み出すピアノとベース…
パンクやブルース、ジャズなどの要素を程よく混ぜ合わせた感が聞いていて楽しい一曲。
地獄のような状況にも打ち勝ってやる、星野源さんの強い気持ちが表れた歌詞にも注目。

8.Nerd Strut 
マリンバの音色が印象的なインストトラック。
どこか温かい気持ちになれますね。
ちなみにベースは細野晴臣さん、それ以外の楽器は星野源さんが演奏しています。
  
9.桜の森
心地よいリズムとキーボードの美しい音色がたまらないポップミュージック。
桜が咲き誇る春の景色がそのまま浮かんで来ます。
生命が活動を始める春という季節の持つ希望を歌っているように感じました。
バックのコーラスやハンドクラップも爽やかさを生み出している。

10.Crazy Crazy
ベース・ドラム・ピアノの生み出すポップサウンドが心地よい一曲。
「Crazy」とタイトルに入っているだけあり、聞いてると狂おしいほどに楽しくなります。
クレイジーキャッツに捧げる歌詞も印象的。
 ピエール中野によるポップさを押し出したドラム、ハマ・オカモトの安定したベースにも注目。

11.Snow Men 
ゆったりしたリズムと源さんの歌唱が暖かな気持ちにさせてくれる。
雪がしんしんと降り積もる様子を表現したのが見事ですね。
寒い日こそ、じっくり聞きたい。

12.Down Town
活気溢れる街の楽しさを軽快なポップスで表現した一曲。
リズミカルに体を揺らしたくなるメロディが印象的。
語感のいい歌詞もリズムの良さを増幅させている。

13.夜
ピアノの重厚な音色がたまりません。
夜の雰囲気をそのまま生み出しているんですね。
バーで流れていても違和感のないような、ピアノジャズを楽しめる。
静かな夜に聞きたい。

14.Friend Ship  
笑顔で一歩を踏み出す…
別れを悲しいものと捉えず、新しいスタートのきっかけに考える歌詞が印象的。
明るいメロディにしているのも頷けます。

総評

「踊る」は「生きる」と同じという言葉をテーマに作られたと思われる本作。
聞いていて前向きになれる曲が多く、まさに今を生きるためのアルバムではないかと感じました。
ストレスの多い現代だからこそ、聞くべき一枚。
星野源さんとしてはもちろん、2015年の名盤と言えます。

評価:★★★★★