高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

凛として時雨「es or s」 -狂気だけが時雨らしさじゃない-

時雨の持つ「動」と「静」。
それを狂気さだけではなく演奏で表現した、今の時雨が感じられるミニアルバム。

・収録曲
1.SOSOS
2.Mirror Frustration
3.Karma Siren
4.Tornado Mystery
5.end roll fiction

・全体的な感想
ドイツ・ベルリンのハンザスタジオでレコーディングされた本作。
時雨の持ち味である鋭さはそのままなんですが・・・
それだけじゃなく優しさと重厚感も加わったサウンドに仕上がっていました。

その一方で以前から感じていた狂気は抑え目になっていると思います。
各曲で聞かせる演奏テクニックがそれを物語っているんじゃないでしょうか。
ポップさも取り入れたリズミカルなドラミングを堪能できる「Mirror Frustration」。
ノスタルジックなイントロからは想像もつかないギタータッピングが圧巻の「Tornado Mystery」・・・
TKのソロ活動も含め、時雨におけるサウンド表現にも変化が見えました。

狂気で圧倒させるだけではなく、しっかりと聞かせる方向にシフトしているんでしょうね。
「狂わすよ」などの時雨らしいフレーズや退廃的な歌詞に前向きさを感じるのもその表れかと。
5曲構成のミニアルバムながらも、時雨の持つ「動」と「静」がもっとも感じられる1枚。

・全曲レビュー
1.SOSOS
激しさで圧倒するバンドサウンドとTKのシャウトが実に時雨らしい1曲。
掻き鳴らされるギターとベースのうねり、手数の多さで攻めるドラム。
今の時雨が持つ実力で初期の狂気を再現したような、彼らのキラーチューンとも言える1曲。
いかにもキレそうな感じのAメロからTKと345の掛け合いが聞けるサビへの変化が見事。
時雨らしいサビへ入った瞬間の安心感はこのバンドならではです。

2.Mirror Frustration
ポップでリズミカルなドラムが印象的なナンバー。
軽快なんですけど、浮遊するギターサウンドに引き込まれてしまいます。
間奏でノイジーなギターサウンドも堪能させてくれる。

3.Karma Siren
パンクテイストも感じさせる、時雨らしいロックナンバー。
今までとは違うアプローチで狂気を表現した1曲。
荒々しく攻めまくるドラム演奏に彼らの本気を感じます。

4.Tornado Mystery
ノスタルジックなギターのイントロが聞く者を引き込んでくれます。
囁くようなTKの歌唱もあってか儚さを感じずにはいられません。
しっとりと聞かせるタイプの楽曲なんですが・・・
間奏におけるギタータッピングで「動」の部分を表現しています。
時雨の持つ「動(狂気)」と「静(儚さ)」が凝縮されている1曲。

5.end roll fiction
「abnormalize」を髣髴とさせるイントロが印象的。
重苦しさを感じさせるサウンドなんですけど、歌詞は意外に前向き。
今までの時雨らしさを残しつつ、新たな一面も見せていきたい・・・
そんなバンドの決意をラストで表現しているようにも感じます。

・総評
5曲と短い構成のミニアルバムでありながらも、今の時雨を充分に感じさせてくれる本作。
ソロ活動における変化も含めて新たな側面も垣間見えました。
何より、時雨の持つ「動」と「静」をもっとも堪能できたのが見事。
ミニアルバムだからこそ、全てをぶつけて来た感じです。

評価:★★★★★

es or s

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