宇宙への行き方

音楽のある生活っていい。

ASIAN KUNG-FU GENERATION「Wonder Future」 -未来への希望-

王道ロックサウンドを全力で楽しめ。
アジカンの強みがここぞとばかりに発揮された7thアルバム。

・全体的な感想

「ランドマーク」から約2年8ヶ月ぶりとなったアジカンのニューアルバム「Wonder Future」。

タイトルは直訳すると驚きの未来になるわけですが・・・
そのタイトルが示す通りのメッセージ性に満ちたアルバムとなりました。
現実を歌いつつも、悲観せずに希望を感じさせる歌詞。
前作では3.11以降にゴッチが感じた想いを歌っていたんですけど。
本作はより現実的な物事をしっかりと見据えているんですね。
驚くことが待っている未来、その時が来るまで何が起こるかはわからないわけで。
素晴らしいものなのかもしれないし、不安に満ちた世の中になっているかもしれない。
時には不安で立ち止まることがあるかもしれませんけど、それでも進むしかないんです。
何が起こるのか分からないからこそ、全力で今を生きていこうじゃないか―。
この先、何が起こっても後悔しないために・・・
政治的に感じる歌詞が多いものの、ゴッチが本作で伝えたいのはこういうことではないでしょうか。
ツイッターにおけるゴッチの主張には賛同できない面も多々ありますが。
とは言え、「勝者と敗者」における「伽藍堂のプレイランド」の韻踏みなど、語感の良さは健在。
遊び心を入れつつ、聞き手に楽しさを感じさせる…
今のアジカンだからこその技じゃないでしょうか。

それをストレートに伝えるためか、サウンド面にも変化が表れています。
シンプルだけど、力強くてポップさを含んだギターロックの数々。
シンセやストリングスは排除され、アジカンの4人が鳴らす音のみで構成されています。
ギター、ベース、ドラムによる演奏の王道ギターロックとも言えるサウンド。
初期の作風を髣髴とさせながら、ここまでの過程で得たものもしっかり反映されているのが見事。
音の力強さといい、成長したアジカンだからこそ鳴らせるロックがここにはあります。

あと、今作は音の感じにも注目して聞いてほしい所。
Foo Fightersのスタジオでレコーディングされた関係か、音がしっかりしているんですね。
ギターサウンドの広がり、ベースの重厚さ、軽快だけど存在感のあるドラム。
それぞれの楽器の良さが改めて感じられる音作りがされているなと感じました。
今まで聞いたCDに限定すれば、一番好みの音なのかもしれません。

・全曲レビュー

1. Easter/復活祭 
不穏さを含んだハードなギターリフがカッコいいロックナンバー。
エイトビートを軸にしつつも、ポップさを排除したメロディとなっています。
力強いドラムとうねりを感じさせるベース、乾いたギター・・・
原点回帰したかのようにも捉えられるサウンドが見事です。
何事も全力で取り組めというメッセージといい、今のアジカンだからこそ鳴らせる音じゃないでしょうか。
3分ほどの短さやギターソロのみで訴えかける間奏など、シンプルな構成も印象的。

2. Little Lennon/小さなレノン
軽快だけど包み込むような轟音ギターサウンドのロックナンバー。
この突き抜け感がたまりません。
間奏のギターソロやブリッジのドラムロールも格好良く聞かせてくれます。
人に言われてもやりたいことをやり抜くといった決意が込められた歌詞も印象的。

3. Winner and Loser/勝者と敗者
ドラムのビートが心地いい8ビートのギターロック。
疾走感のあるギターサウンドがアジカンらしさを感じさせる。
間奏の盛り上がりを予感させるゴッチのシャウトもかつての荒っぽさを彷彿とさせます。
勝者と敗者について問いかける歌詞もいろいろと考えさせられますね。
周りが「あの人は勝者(敗者)」と言っても、本人にとってはまた別だと思うから。
そんなことを気にするのはバカバカしいってことでしょう。

4. Caterpillar/芋虫  
使い捨ての現代社会を歌ったロックナンバー。
力強いドラムとノイジーに鳴るギターサウンドが印象的。
穏やかな曲調でありながら攻撃的に聞かせてくれる。
鋭いメッセージ性が込められた歌詞の威力を増幅させています。

5. Eternal Sunshine/永遠の陽光
小気味いいギターリフが気持ちいいミディアムロックナンバー。
突き抜けた轟音ギターサウンドがアジカンらしい。
辛いことがあっても前へと進む者の背中を押してくれる歌詞も素晴らしい。
タイトル通り、光が優しく包み込んでくれる美メロの1曲。

6. Planet of the Apes/猿の惑星
荒々しさを全面に押し出したアジカンの真骨頂と言えるロックナンバー。
這い回るようなうねりのベース、攻撃的に掻き鳴らすギター、突っ走る勢いのドラム。
ノイジーなボーカルと相まって何とも言えない空気に満ちています。
終末世界を描いた歌詞にも注目。

7. Standard/スタンダード
疾走感を感じさせるイントロとメロディがアジカンらしいロックナンバー。
アルバム用に再録されたのか、より強靭なサウンドとなりました。
パワーコードのリフで展開するサウンドのエモーショナルさがとにかく格好いいんですね。
サビにおけるゴッチのシャウトや伸びやかなギターがたまらない。
個性を受け入れることの大切さを歌った歌詞も印象的。
その人のスタンダード=個性なんですよね。

8. Wonder Future/ワンダーフューチャー 
どんな未来が待っているか分からないけど先へ進む。
そんな力強さをベースラインとドラム、不安を浮遊感漂うギターサウンドで表現したミディアムナンバー。
ブリッジで少しだけスピードアップしてるように聞かせてるのがツボ。

9.Prisoner in a Frame/額の中の囚人  
強靭なドラムのイントロから引き込まれるロックナンバー。
ギターのエモーショナルさがいいですね。
現状に留まらず進み出す決意を歌った歌詞もバンドの決意に感じられます。

10. Signal on the Street/街頭のシグナル
ストレートなギターサウンドを楽しめるロックナンバー。
何と言っても、ドラムの演奏が圧巻。
伊地知さんのドラムがなければアジカンサウンドは成立しない・・・
それを改めて感じさせてくれる。
ラストの「クラップ クラップ クラップ」、「タップ タップ タップ」の繰り返しも聞いていて気持ちいい。

11. Opera Glasses/オペラグラス
ポップながらも、パワフルなギターに圧倒されるロックナンバー。
Cメロの跳ねたメロディラインがすごくいい感じなんですね。
目まぐるしく変わる展開にも注目して聞いてほしい所。

・ まとめ

邦楽ギターロックの代名詞とも呼ばれたアジカン
そんな彼らが原点回帰とも言えるロックアルバムを作り上げました。
後悔しないためにも全力で今を生きろ―。
サウンドやメッセージ性を含め、まさに王道ロックというべき名盤。

評価:★★★★★

Wonder Future(初回生産限定盤)(DVD付)

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