高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

ゲスの極み乙女。「両成敗」 -両成敗が止まりません-

印象に残るサビのメロディ、メッセージ性を含んだ歌詞・・・
聞く者を圧倒するポップアルバム、それが「両成敗」。

曲目

1.両成敗が止まらない
2.続けざまの両成敗
3.ロマンスがありあまる
4.シリアルシンガー
5.勤めるリアル
6.サイデンティティ
7.オトナチック
8.id1
9.心歌舞く
10.セルマ
11.無垢
12.無垢な季節
13.パラレルスペック(funky ver.)
14.いけないダンス
15.私以外私じゃないの
16.Mr.ゲスX
17.煙る

全体的な感想

プログレポップバンド・ゲスの乙女極み乙女。の2ndフルアルバムとなる本作。
ゲスの極みらしい突拍子な展開を持つ楽曲は健在なんですが・・・
ポップスとしての良さをより追求し、馴染みやすさも含んだ仕上がりとなっています。
サビのメロディにそれが表れているのではないでしょうか。

どの曲もキャッチーさを意識して作られているように感じました。
メッセージ性のある歌詞と「私以外~」のフレーズが耳に残る「私以外私じゃないの」。
軽快なリズムに乗せて売れすぎてしまった状況に戸惑う心情を歌った「シリアルシンガー」など。
17曲というボリュームながらも、彼らの勢いを感じられるものとなっています。
全てにおいて印象に残るサビとメッセージ性を含んだ歌詞の存在感が圧倒的なんですよね。
メロディ、歌詞と楽曲・アルバム全体で聞く者を掴んでくる一枚と言えるでしょう。
両成敗が止まらないアルバムってのはまさにこういうアルバムなんだと思います。

気になった曲だけレビュー

1.両成敗が止まらない
重厚感あるギターサウンドのイントロや間奏のレトロなシンセが抜群のインパクトを与えてくれる。
それでいて、「両成敗が止まらない」とリフレインするサビはキャッチーで口ずさみやすい。
突拍子な曲展開とゲスらしいポップセンスが際立った良曲。

2.続けざまの両成敗
「両成敗」とリフレインするサビ、突拍子な曲展開は相変わらずですが。
サビで盛り上がりを抑え目にすることでインストトラックのように聞かせているのが見事。
新しいゲスらしさを感じさせる、新境地とも言える1曲。

3.ロマンスがありあまる
ピアノの旋律がとにかく圧巻の一言。
イントロはもちろん、間奏までテクニカルに聞かせてくれます。
軽快さも含んだメロディラインは終盤まで聞く者を掴んで離しません。
何と言いますか、美しさと情熱を兼ね備えているんですね。
存在感を持ったベースやドラムとの掛け合いも絶妙。
最初のサビ後やアウトロ前の演奏におけるギターソロも含め、全てが本気。
演奏テクニックで聞き手に訴えかける、ゲスらしい佳曲。

歌詞は贅沢をロマンスに置き換えて表現した比喩的なものになっています。
贅沢もいいことなんですけど、身の丈にあったことをしないと・・・
そうじゃなければ持て余してしまうだけなんですよね。
贅沢をし過ぎていると大変な状況になってしまう、そんなメッセージが込められています。
「いつも贅沢に怯えていたんだ」ってフレーズなんか、特にそれを感じる。
ま、ほどほどに贅沢をしましょうってことなんでしょうね。

4.シリアルシンガー
軽快なリズムが印象的なポップナンバー。
売れすぎてしまった状況に戸惑う心情を歌った歌詞も印象的。
リズムは一定なのにサビは耳に残りやすく、思わず口ずさみたくもなります。

5.勤めるリアル
辞めたいと思いつつ今の仕事にすがりつくしかない現状を歌った歌詞が印象的。
どうしようかと悩み、いろんなことを考えて何事も上の空・・・
そんな主人公の様子がこれでもかと描かれています。
「すいません、だからすいません!」のリフレイン、サビの軽快なドラムがキャッチーさを感じさせる。

6.サイデンティティ
軽快なリズムからパンクテイストな展開への転調が聞きどころ。
シンプルだけど、意外に忙しなく変化する曲調を楽しめる。

7.オトナチック
サビ前のポップなリズムに引き込まれる。
凝った展開の間奏もオシャレさが感じられます。
サビよりもそれ以外の箇所に注目して聞いてほしい。

8.id1
メロディのシンプルさを押し出したアコースティックナンバー。
温かみのあるアコギの音色が印象的です。
人生がつまらなくとも結局は生きなきゃいけないと悟った内容の歌詞も考えさせられる。
今を面白く感じるかは自分次第な部分もあると思うんですよね・・・
心の持ちようが大切なんだってことじゃないでしょうか。

9.心歌舞く
サビの軽快なメロディが心地いいポップナンバー。
突拍子な展開を抑え、ピアノの美しい音色を活かしている印象。
ギターソロやピアノソロで聞かせる間奏も注目。

11.無垢
ピアノの弾き語りによるインタールード曲。
「無垢な季節」のサビを引用したコーラスが印象的。

12.無垢な季節
夏が終わる切なさを歌い上げたピアノポップ。
クラシカルなピアノの旋律が曲の世界観を増幅させています。
徐々に盛り上がっていく間奏も圧巻。

13.パラレルスペック(funky ver.)
小気味いいギターリフが実に軽快さを感じさせる。
Aメロからサビまでのファンキーなメロディもカッコいい。

15.私以外私じゃないの
「私以外私じゃないの」と自分の存在を肯定する歌詞が印象的。
代わりになってくれる人がいるとしても、自分は自分でしかないんですよね。
自分にしかない個性を持っているのなら、それを活かしていこう・・・
当たり前のことですが、その通りなんです。
サビでメロディをなぞって歌っていることにより、歌詞が入ってくると言いますか。
軽快でありながらもうねるベースも存在感がありますね。

まとめ

このアルバムリリース直前、川谷絵音の不倫騒動で注目されてしまったものの・・・
アルバム自体はゲスの極みらしい変則的なポップミュージックが炸裂した良盤です。
今後がいろんな意味で気になりますが、私個人としては見守っていきたいところ。

評価:★★★★★