高知の片隅でひっそりとJ-POPを語る

高知から音楽(J-POPメイン) やアニメなど、好きなものへの愛を語っていきます。

誰にも言わない/宇多田ヒカル -明日のことより今を大切に-

5月上旬に「Time」をリリースしたばかりの宇多田ヒカルですが。

早くも2020年第二弾となる新曲「誰にも言わない」を発表しました。

初期のR&Bテイストから一転、エレクトロ的な浮遊感を感じさせるミドルナンバーです。

 

・誰にも言わない(「サントリー天然水」CMソング)

アンビエント感に満ちたエレクトロサウンドが印象的なナンバー。

Aメロからサビに至るまで漂う浮遊感の影響か、メロディの変化を感じにくいものとなっています。

このハッキリとしない構成で引き立てられているのが神秘的な雰囲気のサウンドで。

霧に包まれた大自然の森と言うのでしょうか、それをイメージしているように思いました。

宇多田の歌唱もどこか無機質で楽曲の異質さに繋がっています。

そんな雰囲気の曲だからこそ、パーカッションによる軽快さが加わるラストの展開もより際立っているのが素晴らしい。

 

ラストとそれまでの展開でギャップを感じる曲になっているのは歌詞も影響しているのでしょう。

恋愛系でありながら「明日のことより今を大切にしたい」という気持ちが描かれているからこそ、ラストを少しでも明るさを感じられるものにしたい・・・

宇多田ヒカルの想いが歌詞だけでなく、メロディやサウンドにも表れている曲だと感じました。

 

2020年に入っても進化を続ける宇多田ヒカル

そんな彼女の勢いを改めて感じました。

誰にも言わない, a song by Hikaru Utada on Spotify

誰にも言わない

誰にも言わない

never young beach「サイダーのように言葉が湧き上がる」 -自分らしく前向きに-

2曲ともレトロなサウンドで爽やかさを感じさせるネバヤンらしい仕上がりでした。

これからの季節に聞き込みたいシングルです。

 

1.サイダーのように言葉が湧き上がる(映画「サイダーのように言葉が湧き上がる」主題歌)

レトロだけど夏らしい爽やかなサウンドが心地よいポップナンバー。

ゆったりとしたメロディでありながら、リズム隊による軽快なリズムのおかげで初夏の陽気と涼しい風を運んできてくれるかのよう。

何より、ギターのリフが小気味いい仕上がりでたまりません。

すごく耳触りのいいサウンドはサイダーのような爽快感があり、今の季節にもピッタリ。

 

また、「ありのままでいい」と肯定してくれる歌詞も心に響きます。

何かをしていて失敗した時にそれを直していくことが必要、でも自分らしさは残してもいいんじゃないか・・・

要するに、自分らしくいい方向に進んでいくことが重要だと思うんですよね。

シンプルなメッセージだけど、自然に背中を押してくれるんじゃないでしょうか。

 

2.シティサイド・ラプソディ

ギターとベースによるゆったりとしたメロディの心地よさに引き込まれるポップナンバー。

曲の半分がアウトロという構成でありながら、自然に流れるメロディで違和感なく聞かせてくれます。

長いアウトロなんですが、洗練されたギターリフを挟んでいたりと聞き手を離さない作りになっているのもポイント。

Aメロからラストまでリラックスさせてくれる、非常にオシャレな1曲。

サイダーのように言葉が湧き上がる, a song by never young beach on Spotify

サイダーのように言葉が湧き上がる [CDs]

サイダーのように言葉が湧き上がる [CDs]

抱き寄せ 高まる 君の体温と共に/WANDS -愛する人がいることの素晴らしさ-

今年から新ボーカル・上原大史を迎えて再始動したWANDS

リアルタイムで曲を聞いてないので何とも言えないんですが、色気を感じさせるボーカルには初めて彼らの曲を聞いた私も引き込まれました。

そんな彼らの始動後第二弾となるシングル「抱き寄せ 高まる 君の体温と共に」は爽快なギターサウンドが印象的なロックナンバーでありながら、ボーカルの魅力を最大限に感じられる1曲です。

 

・抱き寄せ 高まる 君の体温と共に(ドラマ「サイレント・ヴォイス Season2」主題歌)

ギターサウンドの程よい疾走感がたまらないロックナンバー。

クールでアグレッシブなリフを鳴らすギターサウンドはシンプルにカッコいい仕上がりとなっています。

前作「真っ赤なLip」と比べてすんなり入ってくるメロディなんだけど、上原のボーカルから漂う色気を活かしているのが見事。

ジャジーサウンドの曲だけでなく、ギターロック寄りの楽曲にも合っている印象を受けました。

 

歌詞ですが、「大切な人と一緒にこれからの人生を歩んでいきたい」という気持ちが歌われています。

人生には楽しいことだけでなく、困難な出来事も待ち受けているんですよね。

それに直面した時も協力し合って乗り越えて行こうー。

二人だからこそ前向きに進むことが出来る、そんな前向きさを感じられる素敵な歌詞だなと思いました。

力強いギターサウンドになっていることでそのメッセージがより引き立っている印象です。

 

人を愛することってこんなにも素晴らしいことなんだー。

人生における楽しいこと・喜び・困難なことも含めて、二人で共有して生きていく・・・

大切な人がいることで生まれる人間の強さと言いますか、それをシンプルに伝えてくれる素敵なナンバーです。

https://youtu.be/Lxyw5sAdCIg

抱き寄せ 高まる 君の体温と共に (初回限定盤) (DVD付)

抱き寄せ 高まる 君の体温と共に (初回限定盤) (DVD付)

  • アーティスト:WANDS
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: CD

キリがないから/藤井風 -キリがないってこういうこと-

個人的に待望と言える1stアルバムの発売が20日に迫ってきた藤井風。

そんな彼の新曲「キリがないから」が本日より配信されました。

R&Bのリズム感とSFテイストの浮遊感がたまらない1曲で、無機質ながらもクセになる仕上がりです。

 

・キリがないから(5月20日発売「HELP EVER HURT NEVER」収録)

浮遊感に満ちたシンセサウンド主体のトラック、クールなリズムを刻むビートが心地よいポップナンバー。

打ち込み音や電子音を目立たせている印象で、ピアノの音色が魅力的な藤井風さんの曲にしては異質さが際立っているように思います。

 

しかし、この曲はこの異質さこそが魅力的と言えるでしょう。

打ち込みのリズムでR&Bやファンクミュージックの要素を感じさせるだけでなく、無機質なシンセサウンドを活かすことでSFテイストも効かせていて近未来的な雰囲気を感じられるものとなっています。

ところどころに入ってくるシンセやサビの伸びやかなコーラスでそれを増幅させているのが見事。

ラストサビのみで入ってくるピアノも程よいアクセントになっており、絶妙な良さを生み出しています。

 

また、1番と2番の歌詞を全く同じものにしているのもポイント。

「迷えるかわいい子羊たち」を始めとするフレーズの語感の良さと言いますか、それを二回繰り返すことで心地よいリズムがより伝わってくるんですよね。

そのおかげか、ポップさが増していて何回もリピートしたくなるほど。

聞き始めたら「いつ聞き終わればいいんだろう」ってくらい、聞きたくなります。

 

思わずリピートしたくなる点も含め、歌詞に描かれた「キリがないから」という感情がそのまま伝わる1曲となりました。

20日発売のアルバムが本当に楽しみですね。

キリがないから, a song by Fujii Kaze on Spotify

HELP EVER HURT NEVER(初回盤)(2CD)

HELP EVER HURT NEVER(初回盤)(2CD)

  • アーティスト:藤井 風
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: CD

2020年4月ベストソング5選

コロナウイルスの影響で異様に静まり返っていたGWも終了しました。

普段なら観光客がたくさん訪れる高知なんですが、今年は道の駅などが臨時休業したりと異例の事態だなと感じられる状況で。

観光で成り立っている地域なので、コロナウイルスが一日でも早く終息して元の日常が戻ってほしいなと。

 

そんな状況でも毎月のベストソング5選は続けていきますよ。

4月はCDの発売が延期されるなど、ライブ以外にも影響が出始めました。

新譜が少なくなるかもしれませんが、サブスクを活用して可能な限りチェックをしていきたいところですね。

そんな4月はこんな感じの10曲となりました。

 

2020年4月ベストソング

新しい日々への希望をイメージした爽やかなメロディが印象的なポップナンバー。

00年代J-POPの雰囲気を感じさせるサビになっているんですけど、ヒゲダンらしいグルーヴ感は健在となっていて、しっかり聞かせてくれます。

また、「これから始まる日々は真っ白な未来こそワクワクする」と歌った歌詞も心に響く仕上がりで。

 シンセの伸びやかなサウンドを活かした楽曲もあって、新生活を始めた方の背中を押してくれるのではないでしょうか。

パラボラ, a song by Official HIGE DANdism on Spotify

 

  • 矜羯羅がる/yonawo

落ち着いた雰囲気のメロディ、気だるげな歌唱が絶妙にマッチしたミドルナンバー。

シンセのひんやりとしたサウンドと小気味いいドラムを軸としたバンドアンサンブルは洗練されたムードを感じられました。

ちょっと懐かしい雰囲気の曲でありながら、すごく作り込まれている印象で。

「~こんがらがる」とリフレインされるサビも耳に残りやすい。

今の時代に感じやすい人間関係のこじれを歌い上げているからでしょうか。

メロディ・サウンドだけでなく、歌詞にも注目して聞いてほしい。

矜羯羅がる, a song by yonawo on Spotify

 

儚さと美しさが印象的なメロディにテナーらしさを感じるロックナンバー。

サビの壮大さはシンプルながらも引き込まれる仕上がり。

間奏における幻想的なシンセサウンドも彼らならではです。

「きみがきみらしく生きることが大切」と歌った歌詞も心に響く。

Graffiti, a song by Straightener on Spotify

 

  • If You're Too Shy(Let Me Knot)/THE 1975

80年代ポップスの雰囲気を感じさせるメロディと現代ならではの恋愛模様を描いた歌詞が印象的。

リバーヴを効かせたドラムによるリズムが聞いていて心地よい。

程よいテンポもあって、古き良き時代の王道ポップスに近いものを感じました。

今月発売予定のアルバムがどのような仕上がりになっているのかすごく楽しみです。

If You’re Too Shy (Let Me Know), a song by The 1975 on Spotify

 

  • It's Time/SPiCYSOL

爽やかなシンセとホーンによるイントロから開放感を感じずにいられないポップナンバー。

軽やかにリズムを刻むドラムやサビの伸びやかなメロディが今の季節にピッタリと言いますか。

初夏の陽気と涼しい風を楽曲で見事に表現しているのが素晴らしい。

約3分半という短さもあって、聞き終わった後の爽快感は圧倒的。

It's Time, a song by SPiCYSOL on Spotify

 

 次点曲

  • MUG/須田景凪

レゲエ調のリズムがシンプルに心地よいポップナンバー。

そんな軽快さを感じるメロディとは裏腹に、「あなたを許せないけど優しさを感じて胸が痛い」と何とも言えない感情を描いた歌詞のギャップが何とも。

サビの裏声でやり場のない気持ちを表現している印象。

MUG, a song by 須田景凪 on Spotify

 

晴れの日に感じる爽やかな風と日差しをイメージしたメロディが心地よい一曲。

安野希世乃さんの柔らかい歌声はそれをより増幅させてくれます。

アクセントとなったアコーディオンの音色も含め、聞いてるだけで癒される。

晴れ模様, a song by 安野希世乃 on Spotify

 

クラゲのような浮遊感を感じさせるサウンドが印象的なエレクトロポップ。

無機質ではなく、幻想的な雰囲気も漂わせているのが素晴らしい。

歌詞の儚さもあって、サビのゆったりとしたリズムが頭から離れません。

ジェリーフィッシュガール, a song by 恩田 海 on Spotify

 

  • 花に亡霊/ヨルシカ

夏の儚い情景を描いた歌詞とそれにマッチした美しいメロディが印象的な1曲。

青春時代の思い出が浮かぶような詞世界は忘れてしまった大切なものを思いださせてくれます。

suisの繊細で感情豊かな歌唱も心に響く。

花に亡霊, a song by Yorushika on Spotify

 

ピアノのスウィング感とそれが生み出す妖艶さに引き込まれる1曲。

林檎のボーカルから感じる存在感を含め、再始動後も変わらない良さがあります。

ラストで聞かせるジャジーな演奏も圧巻の一言。

永遠の不在証明, a song by Tokyo Incidents on Spotify

新世界/RADWIMPS -変わっていく常識への不安-

5月8日のMステで新曲「新世界」を披露したRADWIMPS

翌日から配信もスタートしました。

illionでの作風を彷彿とさせる無機質なサウンドが印象的な1曲となっています。

歌詞の内容も含め、今の状況に対する感情を上手く表現しているなと感じました。

 

・新世界

ダークさを感じさせるトラックによるリズムが無機質なエレクトロテイストのナンバー。

穏やかに鳴らされるギターサウンド、神秘的なシンセの音色が絶妙にマッチしていて何とも言えない浮遊感を生み出しています。

洋二郎ソロ・illionの音楽性に近いものと言いますか、それをRADWIMPSで作り上げているのがポイント。

バンドの枠に留まらないサウンドを鳴らすことで「新世界」を意識しているんだと思います。

 

そんなサウンドで歌詞に描かれた現在の状況に対する不安な気持ちなどを表現しているのも見事。

君と一緒ならこの困難も乗り越えられる、そう思っていたとしてもこの先に待ち受けるのは今までと違う世界。

当たり前に感じていたことが変わっているのかもしれません。

これからの世の中は私生活、仕事など新しい常識が生まれる可能性があるんですよね。

ヒゲダンが「パラボラ」で新生活への期待を歌っていたのですが、こちらでは変わっていくものに対する不安が歌われているように感じました。

 

「新世界」というタイトルでありながら、誰もが感じるであろう不安な感情を歌ってみせた1曲です。

 

新世界

新世界

  • provided courtesy of iTunes

Time/宇多田ヒカル -後悔しないように生きたい-

宇多田ヒカルの2020年第一弾シングル「Time」が配信限定でリリースされました。

初期のR&Bテイストを彷彿とさせるクールなトラックがたまらない1曲です。

 

・Time

スタイリッシュでクールさを感じさせるトラックが印象的なR&Bナンバー。

リズミカルに刻むドラムとバックで鳴るチキチキ音の組み合わせはデビュー曲の「Automatic」を彷彿とさせるかのよう。

これらの生み出すテンポ感が絶妙で気が付けばメロディに引き込まれています。

原点回帰しているように感じられるR&Bテイストの楽曲を聞いていると「これが宇多田ヒカルなんだな」という安心感を感じずにいられません。

同時にシンセサウンドの浮遊感を取り入れるなど、今の流れを踏まえているあたりもポイント。

宇多田らしいR&Bでありながら、しっかりと最新ナンバーに仕上げている点はさすがの一言。

 

また、過去の恋愛を題材に「後悔しないように生きたい」と歌った歌詞も心に響きます。

もし時間が戻るなら後悔する前のタイミングまで戻りたい、誰だってそう思うことはあるはず。

だけど、時間が戻ることはなくただただ過ぎていくものなんですよね。

過去に失敗したとしてもその現実を受け入れて前に進んでいくしかないわけで。

これから後悔しないためにも一つ一つと向き合っていこうー。

ネガティブな感情だけでなく、そんな前向きさも同時に歌っている曲だと感じました。

Time, a song by Hikaru Utada on Spotify

Time

Time

  • provided courtesy of iTunes